FRB、大手銀に気候変動のリスク分析要請 手法を公表

【ワシントン=高見浩輔】米連邦準備理事会(FRB)は17日、米大手銀に試験的に求めている気候変動リスク分析について詳細な手法を公表した。洪水や山火事による直接的な損害のほか、2050年までに米国内の温暖化ガス排出ゼロを実現するための経済的影響を考慮する。7月までにとりまとめ、年内に公表する予定だ。
FRBは銀行の投融資や保有不動産が気候変動によってどのような影響を受けるのかを調べるよう大手銀に求めており、バンク・オブ・アメリカなど6行が参加を表明していた。金融システム全体への影響を調べるのが目的で、個別の金融機関の情報は開示しない予定だ。
経済危機などを想定して財務基盤が十分に健全かどうかを調べる「ストレステスト(健全性審査)」とは別で、FRBは今回の分析結果は金融機関の自己資本の規模などに影響しないと説明している。金融監督担当副議長のバー氏は声明で「銀行が気候変動による金融を含めた重要リスクを理解し、管理できるようにすることが目的だ」と強調した。
パウエル議長は10日の国際会議で「FRBが金融政策や監督の手段を使って気候変動関連の目標を達成するのは不適切だ」と述べ、議会の判断がない限りは金融機関などに対して気候変動問題に取り組むよう積極的に促すことをしないと示唆した。一方で金融システムに及ぼすリスクを把握することには「狭い範囲ながら重要な役割がある」とも強調していた。
気候変動リスク分析のプロジェクトにはバンカメのほか、シティグループ、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレー、ウェルズ・ファーゴが参加する。