/

パウエル発言に安堵 恐怖指数、コロナ前に(NY特急便)

米州総局 後藤達也

パウエルFRB議長はインフレは「一時的だ」と強調した=ロイター

米株式市場で株安懸念が収束している。今後、1カ月間の急落への警戒を映す「恐怖指数」は米国で新型コロナウイルスが大流行する直前の水準にまで低下。米連邦準備理事会(FRB)が2023年までゼロ金利政策を維持する見通しを示し、市場に渦巻いていた不安が晴れた。ナスダック株やビットコインも上昇し、投資家の間で楽観論が再び勢いを増している。

17日の金融市場の話題は米連邦公開市場委員会(FOMC)に集中した。焦点は23年の政策金利の見通しだ。昨年12月と同様、ゼロ金利を継続する前提を示すか、市場では事前の見方も割れていた。

18人のFOMC参加者のうち11人が23年までのゼロ金利の想定だった。利上げを見通す人が増えはしたものの、市場が注目する「中央値」は変わらず、「大規模な緩和を長期間続ける」というFRBのメッセージだと市場は受け止めた。

発表後、当面の金融政策の影響を受けやすい2年物や5年物国債の利回りは下がり、ナスダック総合指数が上昇に転じた。1月下旬からの長期金利上昇に株式投資家は警戒感を強めていたが、FRBのゼロ金利継続の回答を受け、懸念が和らいだ。

投資家の安心を象徴するのが「恐怖指数」VIXの動きだ。17日には一時19.18まで下がり、20年2月以来の低水準となった。コロナ禍で続いてきた株高局面の中でも最も下値不安が乏しい状況となった。

決め手となったのはパウエル議長の物価に対する認識だ。21年の物価上昇率見通しの中央値を従来の1.8%から2.4%へと引き上げたが「一時的だ」と強調。20年3~4月にコロナ大流行の影響で物価上昇率が急低下し、翌年は反動で物価が上振れしやすい。パウエル氏はこの一時的な上昇は「政策金利の見通しに影響を与えない」と注意を促した。

FRBは22~23年の物価上昇率は2.0~2.1%とみる。この通りならば利上げを急ぐ必要は乏しい。インフレ圧力が持続的にかかるか、FRBは結果をみて判断する構えで、いまは経済正常化を支えることに明確に重点を置いている。ゴールドマン・サックスのヤン・ハチウス氏は「24年前半までゼロ金利を据え置くだろう」と予測する。

ただFRBの安全網がいつまでも有効かは不透明だ。物価連動債から算出される今後5年間の予想物価上昇率は2.5%を超えており、FRBの見立てとズレが広がる。仮に22年も2%を大きく上回るインフレが続けば、ゼロ金利継続も揺らぎかねない。

17日の債券市場では2年債や5年債の金利は低下したが、20年債など超長期債の金利は上昇した。目先数年は強力な金融緩和で金利が抑えられる一方、中長期的な景気はよりいっそう押し上げられるとの見方を映している。

目先の株安懸念は和らいだが、前例のない経済情勢下、金融政策や長期金利の先行きは読みづらい。バンク・オブ・アメリカの3月の調査では投資家が警戒するリスクは「インフレ」と「金利急上昇」が「コロナ」を上回る。金利上昇が再び株価の逆風となるリスクは今後も拭えそうにない。(ニューヨーク=後藤達也)

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン