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ロシア、地上戦闘部隊の75%投入 余力乏しく対話模索か

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【ワシントン=中村亮】米国防総省高官は16日、ロシアが地上戦闘を担う主力部隊「大隊戦術グループ」の75%をウクライナへ投入したと分析した。17日には英国防省がロシアの侵攻はすべての前線で大きく停滞していると指摘。ロシア軍は余力が乏しいこともあり、停戦に向けた協議も模索し始めている可能性がある。

国土の広いロシアが大隊戦術グループを一部の地域に集中投入するのは異例だ。バイデン政権は侵攻前にウクライナ周辺に集まったロシア軍の規模は最大19万人と推計していた。

英シンクタンク国際戦略研究所(IISS)の「ミリタリー・バランス」によれば、ロシア陸軍は28万人の兵員を抱える。

国防総省高官はロシア軍が兵士増強に向けた検討を始めたとも言及した。英国防省は15日、ロシア軍が同国国内の東部地区や太平洋艦隊に加え、アルメニアから兵士の派遣を始めたと説明した。シリアやイラクから雇い兵を動員し、ベラルーシにも参戦を求めているとみられる。

ロシア軍はキエフ制圧に向けて兵員が不足しているとの見方が多い。米陸軍士官学校で市街戦研究のトップを務めたジョン・スペンサー氏は市街戦では守り手が優位と指摘。攻め手は守り手の5倍の兵力が必要だと説く。たとえばキエフ防衛を担うウクライナ軍が5万人としても、ロシア軍は25万人が必要になる計算だ。

キエフ中心部での市街戦は失敗のリスクがあり、ロシア軍はまずキエフを包囲して補給路を断って降伏を迫る構えとみられる。一方で米シンクタンクの戦争研究所は16日のリポートで、ロシアが外国などから兵力を増強しても「短期的にキエフを包囲するために必要な戦闘能力とはならない」と分析した。

国防総省高官は地上侵攻の停滞を受け、ロシア軍は長距離の砲撃を増やしているとみている。米欧はロシア軍が住宅地や民間インフラにも激しい砲撃をしていると批判する。一般市民も標的にしてウクライナ政府に降伏を促す戦術との見方がある。

ロシアは停戦協議も模索し始めた。ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアとの合意に時間がかかるとしつつも北大西洋条約機構(NATO)加盟は困難との認識も示しており、ロシアの真意を探っているとみられる。

米欧もロシアの姿勢を見極めようとしている。サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は16日、ロシアのパトルシェフ安全保障会議書記と電話し「ロシアが真剣に外交を考えているならウクライナへの攻撃をやめるべきだ」と伝えた。

NATOのストルテンベルグ事務総長は同日の記者会見で、ロシアが和平を結ぶ準備ができている「いかなる兆候もみられない」と述べた。

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