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米市場、早期利上げ織り込む 「22年後半」FRBより早く

金融市場はFRBの危機モード脱却の織り込みを進めている=AP

【ニューヨーク=後藤達也】金融市場は米連邦準備理事会(FRB)の危機対応からの脱却へ備えを強めている。2021年終盤から22年はじめにテーパリング(資産購入の減額)を始め、22年後半の利上げも視野に入れる。ただ、雇用が予想以上に急回復すれば緩和修正観測がさらに前倒しされ、市場が動揺するリスクもある。

16日午後のニューヨーク市場、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が公表されると米10年債利回りが大きく反応した。発表直前に1.49%だった利回りは一時1.59%台に上昇した。

「最大の驚きはFRBが23年に2回の利上げを見込んでいたことだ」(ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのウィン・シン氏)。FOMCの参加者18人のうち、13人が利上げを想定し、その中央値は0.50~0.75%だった。事前の市場の見立ては0.00~0.25%か0.25~0.50%の二択が大勢だった。

22年も18人中7人が利上げを見込んでいた。シティグループのアンドリュー・ホレンホースト氏は「あと3人が利上げ予想に転じるだけで過半となる(利上げに積極的な)タカ派的なシグナルだ」と指摘。同氏は22年12月の利上げを見込む。

米短期金利の先物市場は22年終盤に利上げ開始を織り込んでいるとみられる。足元の短期金利は0.1%ほどと政策金利の範囲内にあるが、22年末は0.4%程度となっており、FRBが0.25%ずつ利上げすると想定すると、市場は1回の利上げを見込んでいる。さらに23年後半までに短期金利は1%超となっており、追加で2~3回の利上げが想定されている。これまでは市場がFRBよりも利上げに先走り気味な予想だったが、両者の見立てがやや近づいてきた。

テーパリングの時期も市場とFRBの間で認識の差は埋まってきた。市場は8~9月にFRBがテーパリングの方向性を示し、年末から22年はじめに、実際に減額を始めるとの予想が多い。パウエル議長は16日、具体的な時期の言及は避けたが、「経済が前進するなら検討することが妥当だ」と述べた。

16日はFRBの金利見通しが前倒しされたため、金利が急上昇した。だが、金利の水準は3月に付けた1.77%を下回っている。IT(情報技術)株の多いナスダック総合指数もFOMCの発表直後に1%程度下落したが、終値は0.2%安に持ち直した。市場は金融緩和が正常化に向かうことにある程度の耐性ができつつある。

ただ、雇用やインフレの先行きは予断を許さない。足元のインフレの加速は一時的だとするパウエル議長も「経済再開は前例のないもので、インフレが予想以上に高くなり持続する可能性もある」と認める。9月にかけ失業保険の拡充も期限切れし、職を探す動きが急増する可能性もある。

バンク・オブ・アメリカが15日発表した調査では72%の投資家が「インフレは一時的だ」と答えた。想定以上の雇用の回復によりインフレが長期化すれば、市場の予想以上に緩和修正が前倒しされるシナリオも残る。

株安警戒感を映す「恐怖指数」と呼ばれるVIXは先週、新型コロナウイルス流行後、最低の水準をつけた。市場はやや楽観論が優勢だが、アリアンツ・グローバル・インベスターズのモナ・マハジャン氏は「今後数カ月は、市場は値動きの荒い状況が続く可能性がある」と指摘する。

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