米イラン「核合意再建へ最終段階」 原油一時91ドル割れ
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【ワシントン=中村亮】米国務省のプライス報道官は16日の記者会見で、米国のトランプ前政権の離脱によって事実上機能を失ったイラン核合意の再建交渉をめぐり「まさに最終段階だ」と語った。イランの交渉担当者も「(再建へ)かつてなく近い」とツイッターに投稿した。再建交渉がまとまるとの見方が強まり、米原油先物相場は下落し、一時1バレル91ドルを割り込んだ。
米国とイランは8日、欧州を仲介役とする核合意再建に向けた間接協議をウィーンで再開した。米国による制裁解除とイランによる義務の再履行の手順などについて話し合っている。交渉がまとまれば、イランからの原油輸出が増える公算が大きい。
イラン核合意は2015年にいずれも当時のオバマ米政権とイランの穏健派ロウハニ大統領が主導して成立した。核合意に批判的だったトランプ政権は18年に一方的に離脱。イランは反発し、合意の義務履行を相次いで停止した。バイデン政権は核合意への復帰を探るが、イランでは21年の大統領選挙で反米強硬派のライシ師が大統領に就任し、双方の溝が深まった。
イランは、合意再建を取り付けた場合でも、米国の政権が24年の大統領選で交代し、ふたたび合意を離脱する可能性を警戒する。米国が二度と離脱しないという保証を求めているが、米議会には対イラン強硬派が多く、イランの要求は実現困難だとみられていた。
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