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止まらぬトランプ主義 「負の遺産」を抱え再建

分断のアメリカ バイデンの時代(下)

(更新)

12月15日、バイデン次期米大統領は来年1月5日の米連邦議会上院選決選投票での民主党候補の応援のため米南部ジョージア州を訪れた。「分断の修復」を訴えるバイデン氏が演説する会場の外では、詰めかけたトランプ大統領の支持者が民主党支持者と小競り合いになる場面があった。

「不正投票があった数え切れないくらいの証拠がある」。トランプ氏は12月15日ツイッターにこう書き込み、大統領選の投票結果になお異議を唱えた。

異例の政権移行

トランプ政権下で米国は負の遺産を抱えた。人種や所得、宗教の違いなどから生じる米社会の分断は一段と深まり、「ブラック・ライブズ・マター(BLM=黒人の命は大切だ)」など黒人差別に反対する大規模なデモにつながった。大統領選後も「トランプ主義」の広がりは止まらない。

トランプ氏は退任が迫るにもかかわらず、対中投資規制や中東からの駐留米軍の削減などを決めた。バイデン次期大統領は歴代政権とは全く違う政権移行を強いられている。

民主党上院議員時代のバイデン氏は政策の実現のためには、共和党との妥協も辞さない穏健派として頭角をあらわした。他者の意見によく耳を傾け、自らの立場も修正する議会制民主主義を体現する存在だった。

バイデン氏は米国民に「怒りと敵意に満ちた分断の政治を終わらせるときだ」と繰り返し呼びかける。

左派が存在感

だが退任が迫ってもなお自分の主張を押し通そうとするトランプ大統領とトランプ主義の広がりは、バイデン氏のこうした政治手法を試練にさらしている。

一方、民主党では急進左派が存在感を増す。既成政治のあり方を否定し、自らの主張を押し通そうとする点では、トランプ氏の熱心な支持者と似通う。上院で共和党からの協力を得たいバイデン氏は左派の政権登用に慎重だが、民主党が多数を握る下院で左派の造反を招きかねない。

バイデン氏は政権運営上のジレンマを抱えながら、トランプ時代の政策を修正することになる。対中政策はトランプ氏のような制裁関税など極端な政策はとらない方針だ。ただ中国への脅威論は超党派で高まっており、中国にどう対応するのかかじ取りは容易ではない。

トランプ政権が離脱した環太平洋経済連携協定(TPP)に加わる決断も難しい。ラストベルト(さびた工業地帯)の労働者を支持基盤とする民主党内部から反対意見が強い。

積み重なる課題を解決し、分断の米国を立て直せるのか。来年1月20日にスタートするバイデン体制にのしかかる責任は重い。(ワシントン=永沢毅)

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分断のアメリカ

4年に一度の米大統領選が2020年11月3日に迫っています。トランプ大統領の再選か、それとも野党・民主党の政権奪還か。データや分析に基づいて米国の政治、経済、社会などに走る分断の実相に迫りつつ、大統領選の行方を追いかけます。

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