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Uber、英国で運転手に最低賃金保障 最高裁判決受け

【シリコンバレー=白石武志】ウーバーテクノロジーズは16日、英国内で同社のライドシェアサービスを担う約7万人の運転手を英国の雇用法に基づく「労働者」として扱うと発表した。運転手は個人事業主であるとする同社の主張を退けた2月の英最高裁判決を受け、従来の慣行を見直した。運転手らには最低賃金を保障するほか、休暇手当や年金への加入機会も提供する。

個人事業主から労働者への区分の見直しは、17日付で実施する。これに伴い、ウーバーは運転手らに英国で「国民生活賃金」と呼ぶ最低賃金を保障する。収入に基づいた休暇手当を2週間ごとに支払うほか、一定の条件を満たす運転手については年金制度に自動的に加入させる。

ウーバーによると労働者(Worker)の区分は英国の雇用法に固有のもので、雇用主の指示に従って働く従業員(Employee)とは異なるという。税務上は自営業者として扱われ、運転手らは好きな時間に自由に働く柔軟性を維持することができる。北欧・東欧担当幹部のジェイミー・ヘイウッド氏は「英国の運転手にとって重要な日だ」とコメントした。

英国では一部の運転手らがウーバーを相手取り、最低賃金保障などの権利を求める訴えを2016年に起こした。英最高裁は21年2月の判決の中で「運転手はウーバーに従属し、依存している」などと指摘し、運転手は個人事業主だとするウーバーの主張を退ける判断を示していた。

ウーバーによると、同社の運転手の収入はロンドンでは平均で時給17ポンド(約2570円)、英国の他の地域では平均で時給14ポンドで、英国ではすでに99%の運転手が最低賃金を上回る収入を得ているという。今回の区分の見直しによって待遇に不満を持つ運転手らをどこまで納得させられるかは不透明だ。

スマートフォンのアプリを通じてライドシェアや料理宅配などの単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」の権利を守る動きは世界各地に広がっている。ウーバーが本社を置くカリフォルニア州でも20年1月にギグワーカーらを原則従業員として扱うよう求める州法が施行した。その後、ウーバーなどが主導した住民立法案が20年11月の住民投票で賛成多数で承認され、一転して個人事業主として認められることになった。

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