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FRB議長、コロナ「今後数カ月が試練」 記者会見要旨

(更新)
FRBのパウエル議長(12月、ワシントン)=ロイター

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は16日、米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に記者会見を開き、新型コロナウイルスの感染拡大について「今後数カ月が試練の時となる」と述べた。発言の要旨と質疑応答の概要は以下の通り。

きょう、我々は金利に関する強力なフォワードガイダンス(将来の指針)を再確認した。資産購入に関する追加の指針も導入した。この措置は経済回復が完了するまでの強力な支援となる。経済回復は4~6月期の落ち込みからの回復を続けている。大部分で経済再開が見られ7~9月期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で33%増加と急速に回復した。ただここ数カ月、回復のペースは緩やかになった。

家計のモノへの消費、特に耐久消費財への消費は力強く、パンデミック前を上回る水準だ。対照的に旅行やホテル業界などサービス消費は弱いままだ。家計の消費が全般に回復したのは、政府による家計支援や、失業保険の拡大によるものだ。住宅ローン金利が低いことも住宅市場の完全な回復を支えた。企業の設備投資も予想より早く戻った。FOMC参加者による2020年の経済見通しを9月時点から上方修正した。

とはいえ経済活動全体としてみれば引き続き新型コロナ以前の水準を大きく下回っており、先行きは極めて不透明だ。雇用情勢の改善ペースは鈍ってきている。失業率も下がってきたが、(11月は)6.7%という高水準のままだ。FOMC参加者は失業率が低下し続けるとみているが、21年末が5%で23年に4%を下回る予測だ。特にサービス業で働く低賃金労働者やアフリカ系米国人、ヒスパニック系の人が景気悪化の打撃を大きく受けている。

物価上昇率は春に大きく低下してから夏に持ち直したが、直近では横ばいだ。特にパンデミックの影響を受けている部門で緩慢になっている。FOMC参加者の物価上昇率見通しは今年が1.2%、21年が1.8%で23年に2%に達する見通しだ。

景気の先行きは極めて不透明で不確実性が高く、この先どうなるかはコロナの感染状況次第だ。最近のワクチンに関するニュースはとてもよいが、その生産スピードや配布、様々な人に対する有効性を考慮するとまだ多くの試練と不確実性が残ったままだ。ワクチンの進展が経済活動に及ぼす影響を測るのは難しい。米国や諸外国での新型コロナの感染増加は特に懸念され、今後数カ月はまさに試練の時となりそうだ。

景気の先行きに関して、経済成長率の下方リスクが高いと考える参加者は9月より減った。約半数の参加者がリスクと経済活動のバランスが取れているとみている。同程度の人が物価を押し下げるリスクがあると分析する。

我々は米国債の購入を少なくとも月800億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)を同400億ドルのペースで買い入れる施策を、完全雇用と物価安定目標に向けて十分に近づくまで続ける。

政策金利に関するフォワードガイダンスとともに、大規模な金融緩和を続けるという姿勢を裏付けるものだ。ガイダンスは成果に基づくもので、雇用や物価目標の達成度合いに結びついている。目標に向けた進展が鈍ければ、政策金利やバランスシートの予想を通じて緩和拡大の意図が伝えられることになるだろう。

財政出動による支援は家計や企業、地域社会に恩恵をもたらしてきた。それでも現在の景気悪化が前代未聞の深刻さであることを踏まえると、景気がコロナ前に回復するまでにはしばらく時間がかかるだろう。金融政策と財政政策双方の支援を引き続き必要とする。

――経済回復が鈍っているが、FRBとしてさらに講じられる手段は。

「米国債の購入拡大などできることはある。ただ短期的に人々が必要としているのは、低金利によって時間をかけて需要を刺激する施策だけではない。政府と協力して、パンデミックがもたらした経済的な溝を埋めることが必要だ。多くの米国民が食料供給を求めて車で列をなしている。事業ができなくなった中小企業が全米にある」

「トンネルの先に光が見えるようになったいま、あと数カ月持ちこたえることができず人々が職を失うのは非常に残念だ。我々ができることやっていく。米議会による追加経済対策は極めて重要だ。家計も企業も支援を必要としていることは広く理解されている」

――今後数カ月が試練というが、なぜ資産購入期間の延長などをしないのか。追加緩和の措置は。

「今回の会合では資産購入のガイダンスについて議論した。景気の先行きはこれまでよりは見通しやすくなった。これまでの『今後数カ月』という表現は一時的なものと判断し、表現を変えた。これは重要な一歩だ。資産購入は必要に応じて購入額の調整など柔軟な選択肢がある」

「今実施しているのは非常に大規模な資産購入プログラムだ。金融政策の影響が大きく表れるのは何カ月も先で、いま必要なのは財政政策だ」

――国債市場は長期的に、FRBの存在なしで円滑に稼働できるか。

「FRBが資産購入をしているのは経済が極めて緩和的な金融政策を要する時だからだ。米国債は世界中から需要があり、FRBが国債市場に存在する必要があるとは考えていない。(国債は)民間機関によって取引されるべきだと考えている」

――より長期国債を購入し、同時に資産購入のペースを落とす可能性は。

「一定の償還期限の債券購入をする一方で購入規模を縮小するという手段の1つはカナダ中銀が実施しており、我々も前回の会合で議論した。FOMC参加者の見方は分かれており、現時点では実施する可能性は小さい」

――ワクチン接種が始まったが、いつ米国で集団免疫が得られるとみているか。

「21年半ばから後半にかけてと予測している。21年3月の終わりから4~6月にかけて、大半の人々がワクチン接種を受けるだろう。今後4~5カ月間の景気は非常に厳しい状況になると予想されるが、ワクチンが普及し21年後半に景気が強く回復すれば、人々は平常の生活に戻れる可能性がある」

――気候変動問題は今後、金融政策にどのように影響するのか。

「議会はFRBや金融規制当局に対して気候変動における目標を設定していない。ただ気候変動への対応は法律に基づく我々の義務でもある。というのも、我々の仕事の1つに銀行の規制・監督、金融システムの管理がある。気候変動は金融機関や金融システム、経済の新たなリスクとなりつつある。その意味やどう対処すべきかについてはまだ理解を深める初期段階にある。(他の)中央銀行と協力し意見交換している」

――現状の物価上昇率や失業率の状況は完全雇用と物価安定の達成が「十分に近づいた」状態に進展していると言えるのか。

「特定の数字をあげて進展を示すかどうかは現時点では示さない。重要なのは政策金利と資産購入についてのガイダンスが、完全雇用と物価安定の目標に達するまで緩和状態を保つとしていることだ。我々からの強いメッセージといえる」

「『十分に近づく』との表現は、量的緩和の変更前に、完全雇用と2%物価目標にかなり近づいたと言える状態を示す。我々はFRBの資産拡大によって量的緩和政策をとっているが、いずれ必要なくなるときがくる。それがいつかはまだ不透明だ。目標達成への道筋が見えたときには、資産購入を次第に縮小することを検討すると必ず前もって明らかにする」

――(前FRB議長で次期財務長官候補に指名されている)イエレン氏など、米大統領選で当選を確実にしたバイデン氏らの政権移行チームと話したか

「財務省の移行チームとは会合があった。イエレン氏には祝意と『一緒に仕事をするのを楽しみにしている』と伝えた。政策については話しておらず、イエレン氏(の人事)が議会で承認されるまで話すつもりはない」

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