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NY市長選、台湾系ヤン氏がリード 最低所得保障で注目

(更新)
世論調査で支持率トップのニューヨーク市長選候補者、アンドリュー・ヤン氏=ロイター

【ニューヨーク=山内菜穂子】2021年11月のニューヨーク市長選で、6月の民主党予備選に向けて台湾系実業家のアンドリュー・ヤン氏がリードを広げている。公約に「最低所得保障」を掲げる同氏は民間の世論調査で2位の候補者の2倍の支持を集めた。当選すれば初のアジア系市長となる。予備選まで約2カ月となり、選挙戦の行方に注目が高まる。

民主党、共和党はともに6月22日、市長選の候補者を選ぶ予備選を実施する。民主党が強い地盤を持つニューヨーク市では、同党予備選で11月の選挙戦の構図が固まるために関心が高い。

米民間シンクタンク「データ・フォー・プログレス」は3月21日から4月5日、民主党予備選の有権者となる可能性がある人を対象に世論調査を実施した。ヤン氏が1位(26%)となり、2位の元同市警察官でブルックリン区長のエリック・アダムス氏(13%)を大きく引き離した。3位は同市会計検査官のスコット・ストリンガー氏(11%)、4位は女性弁護士のマヤ・ワイリー氏(10%)だった。

世論調査で2位となったエリック・アダムス氏=AP

世論調査の結果を人種別にみると、白人と黒人、ヒスパニック系、アジア系のいずれもヤン氏がトップとなった。なかでも黒人の有権者は25%がヤン氏を支持し、アダムス氏(22%)を上回った。政治専門サイト「ポリティコ」は「アダムス氏の(黒人有権者から支持されてきた)政治的基盤を考えると驚くべき数字だ」と指摘した。

ヤン氏は20年の米大統領選で民主党候補の指名争いに加わり、全国的に知名度を高めた経緯がある。18歳以上に1カ月1000ドル(約11万円)を支給する最低所得保障制度を掲げ、格差問題に関心の高い若者を中心に支持を広げた。

ヤン氏は最低所得保障制度の導入を訴えてきた =AP

今回の市長選でも公約の目玉は「米国最大規模のベーシック・インカム(最低所得保障)計画」だ。ヤン氏は新型コロナウイルスの感染拡大より前から、市民の約2割が貧困状態にあり、4割が貧困に陥るリスクがあったと指摘。経済的に最も困窮する50万人の市民に年間平均2000ドルを支給するとしている。

ヤン氏の優勢によって、最低所得保障を巡る議論が米国内で再燃している。ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏は15日、米紙ニューヨーク・タイムズで「ヤン氏のアイデアは明らかに間違っている」と批判した。ヤン氏はもともと、産業の自動化による失業者の増大に対処するために同制度の導入を訴えている。クルーグマン氏はこれに対し、近年の生産性の低迷などを根拠に、自動化によって失業者が急激に増えているわけではないと指摘した。

様々な点で注目を集めるヤン氏だからこそ、批判の矢面に立つ場面も増えている。ヤン氏が女性蔑視発言をする男性とともに映る動画が15日、ツイッター上で拡散すると、ヤン氏は「彼は明らかに不適切な発言をした」と釈明した。11日には移民が運営していることが多い無許可の露天商への規制を強める趣旨のツイートを投稿し、批判された。

株価は好調が続く一方、コロナ禍で大きな打撃を受けた貧困層への支援が課題に=AP

ニューヨーク市長は4年の任期で、2期8年まで務めることができる。現職のデブラシオ市長は21年末で任期満了となる。市長選では、コロナ禍からの経済回復や貧困対策、アジア系へのヘイトクライム(憎悪犯罪)といった人種差別への対応などが争点となる見通しだ。

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