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米企業、共和党州に苦慮 シティは中絶制限で従業員支援 

(更新)

【ニューヨーク=山内菜穂子】米企業が共和党優勢の州の政策への対応を迫られている。シティグループは人工妊娠中絶を規制する州の従業員を支援する。ウォルト・ディズニーは学校での性自認の議論を禁じるフロリダ州法案に反対を表明した。態度を明確にすれば一部の消費者が離れる可能性があり、多くの企業は政治との間合いをはかる難しさに直面している。

シティグループは南部テキサス州など共和党州で広がる「中絶の権利」制限に対応する。4月下旬に開く株主総会の資料で、従業員に対し他州のクリニックへの旅費を補助すると明らかにした。

テキサス州は21年9月、妊娠6週前後とされる胎児の心拍確認後の中絶を禁じる法律を施行した。性的暴行などによる妊娠も例外とせず、全米で最も厳しい内容に賛否両論が巻き起こった。西部アイダホ州議会も14日、テキサス州法をモデルにした法案を可決した。

南部フロリダ州議会が8日可決した性的指向や性自認などの話し合いを学校で禁じる法案でも企業の対応が注目を集めた。同州で約8万人の従業員を抱えるディズニーは当初、立場を明確にせずに社内外から批判を浴びた。SNS(交流サイト)ではボイコット運動も起きた。

ボブ・チャペック最高経営責任者(CEO)は10日の株主総会で反対を表明。同州での政治献金の一時停止なども決めた。従業員に宛てた11日付の手紙で「みなさんと話すことで、私たちの沈黙がどれほど辛いものだったかを理解することができた」と語った。

テキサス州のアボット知事が2月下旬、出生時の性と自認する性が異なるトランスジェンダーの子どもが医療的なケアを受ける際、親の児童虐待の可能性を調査するように行政機関に命じたことも波紋を広げた。これにはアップルやIBMなど60を超える企業が連名で反対声明を発表。地元紙にも広告を掲載した。

共和党州が世論を二分するような政策を相次いで打ち出すのは、11月の米議会中間選挙に向けた思惑があるためだ。リベラルと保守が対立するテーマを取り上げることで注目を集め、保守票を固める狙いがある。

近年、米企業は従業員や消費者からこのような政策に関し態度を表明するように求められるケースが増えている。ただ、一般消費者に商品やサービスを提供する企業では顧客の政治的な見解は幅広い。態度を決めることで一部の消費者の離反を招く恐れがある。

米国では中間選挙に向けてリベラルと保守が真っ向から対立する議論がさらに盛り上がるとみられている。米企業は政治色が強い事案の対応に悩む場面が増える可能性が高い。

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