ウクライナ大統領「I have a need」 米議会で支援訴え
【ワシントン=中村亮】ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、米議会でのオンライン演説に臨んだ。米国で人種差別撤廃に奔走したキング牧師が使った「I have a dream(私には夢がある)」に触れたうえで「I have a need(私には必要なものがある)」と語り、軍事支援や対ロシア制裁の強化を求めた。
ゼレンスキー氏がオンラインで姿を見せると米国の議員は総立ちになり拍手で迎えた。ゼレンスキー氏は笑顔で声援に応えたが演説が始まると厳しい表情に変わった。
ロシアによる侵攻について「我々に対する攻撃であるだけでなく人類の基本的価値観に対する攻撃だ」と糾弾した。旧日本軍による真珠湾攻撃や2001年の米同時テロで「無実の人々が殺された」ことを引き合いにしながら「ウクライナでは同じ状況が毎日起きている」と述べた。演説の途中には建物が破壊されたり、子どもが泣き叫んだりする様子をまとめた動画を流した。
バイデン米大統領に対し「あなたは偉大な国の指導者だ。あなたに世界の指導者になってほしい。世界の指導者になるとは平和に向けた指導者になることを意味する」と強調。ロシアへの対抗や和平の実現に向けた指導力に期待を示した。
「我が国や欧州にとって暗黒のときに米国はもっとやるべきことがある」とも力説した。「ロシアが作戦を停止するまで制裁を科していく必要がある」と言明した。
具体的には全ての米企業がロシアから直ちに撤退すべきだと訴えた。各議員が選挙区でロシアとの取引を停止するよう企業に圧力をかけるよう要請し「ロシアがウクライナ国民を破壊する目的で使う資金をいっさい受け取れないようにすることを求める」とした。
ロシア軍による爆撃が強まっているとして、ウクライナ領空で「飛行禁止空域」の設定を要請した。設定はウクライナ上空でロシア軍の活動を禁じることを意味し、必要に応じてロシア軍機を撃墜する必要があり、バイデン政権は一貫して反対してきた。ゼレンスキー氏は設定が難しい場合には地対空ミサイルや航空機の供与を求めるとも話した。
ゼレンスキー氏はウクライナ語と英語を交えながら演説した。途中で流した映像を含めて演説時間は約17分だった。
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