FOMC声明要旨 コロナ、中期的に深刻なリスク

【ワシントン=長沼亜紀】16日発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明要旨は以下の通り。
米連邦準備理事会(FRB)はこの試練のときに米経済を支え、雇用の最大化と物価の安定の目標を推進するために、あらゆる手段を使うことを約束する。
新型コロナウイルスの流行は、米国と世界中に甚大な人的・経済的困難をもたらしている。経済活動と雇用は引き続き回復しているが、依然として今年初めの水準を大きく下回っている。
弱い需要と先般の石油価格の下落が、消費者物価の上昇率を押し下げている。経済および米国の家計と企業の信用の流れを支える政策措置もあり、金融情勢は全般に依然として緩和的だ。
景気の動向はウイルスの拡大状況に大きく左右される。現在続いている公衆衛生の危機は、短期的には引き続き、経済活動、雇用、インフレにとって重荷となり、中期的には経済見通しにとって深刻なリスクとなる。
FOMCは、雇用の最大化と長期的な2%のインフレ達成を目指している。物価上昇率がこの長期目標を下回る状態が続いていることから、当面は2%よりやや上のインフレ達成を目指す。そうすることで、インフレ率が長期的に平均で2%になり、長期インフレ予測が2%で安定するようにする。
これらの成果が出るまで金融政策の緩和的スタンスを維持すると予測している。
FOMCは(政策金利である)フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0~0.25%に据え置くことを決定した。労働市場の情勢がFOMCの雇用最大化の判断と一致する水準に達し、インフレ率が2%に上昇して当面は2%をやや上回るところで軌道に乗るまで、この目標レンジを維持することが適切と予測する。
雇用最大化と物価安定の目標に向けてさらなる大きな前進を遂げるまで、FRBは、国債保有を少なくとも月800億ドル、ローン担保証券の保有を少なくとも月400億ドル引き続き増やす。こうした資産購入は円滑な市場機能と緩和的な金融情勢の促進を助け、家計と企業の信用の流れを支える。
金融政策の適切なスタンスを判断するにあたって、FOMCは引き続き、景気見通しについて経済指標が示す意味を注視する。目標達成を妨げるリスクが現れた場合は、金融政策のスタンスを適切なものに調整する準備がある。公衆衛生、労働市場の状況、インフレ圧力・インフレ予想の指標、金融動向や国際情勢を含めた幅広い情報を考慮して判断していく。
決定はパウエル議長及びウィリアムズ副議長を含む10人のメンバー全員の賛成による。