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バイデン氏、対ロ強硬姿勢をアピール 首脳会談も探る

15日、バイデン米大統領は演説でロシアに対して「いまこそ緊張を緩和するときだ」と訴えた(ワシントン)=ロイター

【ワシントン=中村亮】バイデン米大統領は15日の演説で、ロシアによる選挙介入やサイバー攻撃に対して追加制裁を警告した。対ロ強硬姿勢をアピールし、政権の理念である民主主義の防衛に向けて譲れない一線を明確にした。米ロ首脳会談も探り、決定的な対立を避けたい思惑が透ける。

バイデン氏は15日、ホワイトハウスで演説し「ロシアが我々の民主主義への介入を続けるのであれば追加の対抗措置の用意がある」と強調した。「それは大統領としての責務だ」とも語り、民主主義に反する選挙介入や武力による国境線の変更に断固として対抗する方針を示した。ロシアの対応次第では、15日公表した制裁にさらに追加する意向を示した発言だ。

これに先立ち、米財務省は15日、2020年11月の米大統領選での工作活動を理由にロシアなどの16個人・16団体に制裁を科した。工作活動を担う連邦保安局や軍参謀本部情報総局が関与する団体を制裁対象とした。財務省によると、連邦保安局とつながりのある団体が運営するサイト「サウスフロント」は大統領選後に選挙不正があったとの見方を拡散した。

ロシアが14年にウクライナ領クリミア半島を併合したことに関連しても、5個人・3団体を制裁対象に指定した。ロシア軍がウクライナとの国境付近に部隊を最近増強しており、新たな武力行使をけん制する効果を狙った。制裁対象の一部には欧州連合(EU)や英国、カナダ、オーストラリアも最近、制裁を科しており国際社会との協調も演出した。

バイデン氏は民主主義防衛という明確な政策目標を示し、そこから逸脱したロシアの行動に一貫して制裁を科している。ロシアとの融和姿勢が目立ったトランプ前大統領の方針から軌道修正している。

トランプ氏はロシアの選挙介入を一時否定した。クリミア併合についても当時のオバマ米大統領の弱腰姿勢が原因だとして、ロシアの責任を曖昧にすることがあった。こうした言動が議会やメディアから痛烈な批判を招き、結果的に対抗措置を発動したが「首尾一貫しないトランプ氏の姿勢がロシアに対する抑止力を弱めている」(元ホワイトハウス高官)との見方があった。

一方、バイデン氏は演説で「いまこそ緊張を緩和するときだ」とも訴えた。今夏に欧州で米ロ首脳会談を調整していると説明し、対話のシグナルを鮮明にした。核軍縮などを議論する「戦略的安定に向けた対話」を呼びかけ、イラン政策や北朝鮮政策、気候変動対策も協力分野にあげた。

米政府高官によると、バイデン氏は13日のロシアのプーチン大統領との電話協議で、制裁措置を講じることを通告した。米国の想定を超えてロシアが反発し米ロ対立が制御不能にならないよう配慮したものだ。

金融制裁では、米金融機関に対してロシアの中央銀行や財務省のルーブル建て新発債券の購入を禁じたが、発行済み債券の取引禁止には踏み込まなかった。国際的な決済ネットワークの国際銀行間通信協会(SWIFT)からの排除も見送った。市場では「想定の範囲内」として、制裁発表後にロシア国債は買われた。

ロシアとの決裂回避は米政権が最大の脅威とみなす中国への対抗を進めるうえでも必要だ。米国では「中国やロシアと同時に戦争はできない」(共和党関係者)との見方が多い。仮にロシアがウクライナへ再び侵攻すれば米軍は欧州で大幅な戦力増強が必要になる。

ロシアは新たな対ロ制裁を発表した米国への反発を強めている。外務省は「対抗措置をとる」と通告した。プーチン政権は米ロ関係が悪化するなかでウクライナとの緊張をあおり、バイデン米大統領の反応を探ってきた。バイデン氏が制裁強化で応じたことで、同氏が提案した首脳会談にむけて揺さぶりを強めることも予想される。
「しかるべき対抗措置が発動されるだろう」。米政権が新たな対ロ制裁を発表した15日、スルツキー下院外交委員長はこう警告した。
米ロ首脳は13日に電話でウクライナ情勢を協議したばかりだ。同国東部ではロシアが支援する親ロ派武装勢力との紛争が続き、ロシアが国境付近に軍を集めて緊張が高まっていた。バイデン氏が米ロ首脳会談を呼びかけ、ロシアが米国を対話の場に引き出すのに成功したと目された直後の追加制裁となった。
ロシアは制裁は「想定の範囲内」だと主張する。今回購入が禁じられたのはロシア財務省や中央銀行が新規に発行する債券だけが対象で、影響は限定的だとの指摘がある。ただ制裁の長期化で、外国からの直接投資は低迷し、経済は停滞している。
ロシアは対ロ制裁のさらなる強化を防ぐため、かねて米国との対話を探ってきた。米中対立が激しくなるなか、米国と対等な「大国」としてのロシアの存在感が薄れることへの警戒もある。米ロ首脳会談をにらみ、ロシアに歩み寄る必要性を認めさせようと、ウクライナ情勢で緊張緩和に応じない可能性も出てくる。
ロシアはバイデン政権の外交課題であるアフガニスタンやイラン情勢にも一定の影響力を持つ。プーチン氏は米国が22、23日に主催する気候変動に関するオンラインの首脳会合の招待を受けるかも明らかにしていない。米ロ首脳会談にむけて、駆け引きが一段と激しくなりそうだ。

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