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米SEC、経営者の自社株取引に新規制 株高で売り急増

【ニューヨーク=宮本岳則】米証券取引委員会(SEC)は15日、企業経営者や創業者など社内関係者(インサイダー)による自社株取引を制限する規則案を公表した。取引計画の公表を義務付けるほか、計画公表から取引開始まで120日間の経過期間を設けることを求める。株高や課税強化の動きなどを受けて、経営幹部による自社株売りが足元で急増していた。

SECは15日、インサイダー取引について定めた「1934年証券取引所法」上の規則「10b5-1」の改正を提案した。今後、意見公募を経て新規則が導入される見通しだ。SECのゲンスラー委員長は同日の声明で「過去20年にわたり、私たちは規則10b5-1に関する懸念を耳にし、欠陥も見てきた」と述べ、規制改正が市場に対する投資家の信頼感を高めると指摘した。

創業者や経営者は企業に関する重要な非公開情報を持っていることが多い。一方で米国では報酬として多額のストックオプションを付与しており、株売りの需要は多い。前もって「10b5-1」プランと呼ばれる売却計画を策定し、その指示通りに売買すれば、当局からインサイダー取引で摘発されるリスクを低減できる。

もっとも投資家の間で現行ルールの評判は悪かった。取引計画が容易に変更されたり、修正されたりするからだ。不透明な慣行によって、社内関係者が不当に大きな富を得ているとの疑念は根強く残る。新規則では計画公表から取引開始まで120日間待つ必要があり、不正行為をしにくくすると期待されている。公的年金などが所属する米機関投資家協議会(CII)は歓迎のコメントを出した。

2021年に入って経営者や創業者の売りは急増している。自社株取引のデータベース「インサイダースコア/ヴェリティ」によると、S&P500種株価指数の構成企業の社内関係者は14日時点までに667億ドル(約7兆6000億円)分の株式を売却し、20年通期を57%上回る。通年で過去最高だ。株価指数が最高値圏で推移し、多額の売却益を見込めたほか、バイデン米政権がキャピタルゲイン課税強化を検討していたため、売却の誘因になったとの見方もある。

SECは15日、複数の規則改正案を公表した。MMF(マネー・マーケット・ファンド)の運用を巡っては「スイングプライシング」と呼ばれる仕組みの導入を求めた。新型コロナウイルスの感染が急拡大した20年3月、市場の混乱でMMFから資金が流出し、米連邦準備理事会(FRB)が救済措置に乗り出す事態になった。今回の改定でパニック時の資金流出を抑えたい考えだ。

デリバティブ取引の規制強化にも動く。SECはこの日、有価証券を裏付けとしたスワップ取引の報告義務など含んだ新規則を提案した。米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントの投機的なスワップ取引によって、大手金融機関が多額の損失を計上し、再発防止策が急務になっている。自社株買いで企業に開示充実を求める新ルールも同日公表した。いずれも意見公募の後に最終規則をまとめる。

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