チリ中銀、3.5兆円の為替介入へ ペソ最安値更新で

【サンパウロ=宮本英威】南米チリの中央銀行は、250億ドル(3兆5000億円)規模の為替市場介入策に乗り出す方針を示した。18日から9月30日まで実施する。自国通貨ペソが過去最安値を更新しており、インフレが一段と加速するのを防ぐ狙いだ。
14日夜に方針を公表した。スポット(直物)市場でのペソ買い・ドル売りなどで対応する。中銀は金融市場へのドルの供給を増やすことでペソの先安観を薄めることを狙う。
世界的な景気不安で、主要輸出品である銅価格が3月の高値から下落しているのが通貨安の背景にある。3月に就任したボリッチ大統領は左派で、自由貿易の拡大には慎重な立場に立つ。ビジネス環境が停滞する懸念も重荷となっている。
経済紙ディアリオ・フィナンシエロによると、通貨ペソは14日、1ドル=1051ペソで取引を終えていた。中銀の施策公表を受けて15日の終値は978ペソに上昇した。
ただ金融市場では「国内外の情勢を考えると状況は困難で、中銀の施策の効果は限定的」(米ゴールドマン・サックスのアルベルト・ラモス氏)との見方が出ている。
中銀は13日、政策金利を0.75%引き上げて9.75%にすると発表した。利上げは9会合連続となった。
6月の消費者物価指数は前年同月比で12.49%上昇し、1994年6月(12.73%)以来の高さを記録した。中銀のインフレ目標の中心値は3%で、大幅に上回る状況が続いている。