ウォルマート8~10月、9%増収 在庫削減で通期上方修正

【ニューヨーク=白岩ひおな】米小売り大手ウォルマートが15日発表した2022年8~10月期決算は、売上高が前年同期比9%増の1528億ドル(約21兆円)だった。インフレ下で低価格帯の食料品の売れ行きが高所得世帯でも伸び、市場予想を上回った。値引きによる在庫削減も進んだ。
8~10月期の最終損益は18億ドルの赤字(前年同期は31億ドルの黒字)。同社の薬局で販売された医療用麻薬「オピオイド」をめぐり、複数の州や自治体を原告とする訴訟の和解関連費用として33億2500万ドルを計上した。

ウォルマートは同日に31億ドルを支払う和解案に基本合意したと発表した。和解の最終的な成立には原告側の承認が必要となる。オピオイド訴訟をめぐっては、米薬局大手のCVSヘルスとウォルグリーン・ブーツ・アライアンスが2日、それぞれ約50億ドルの和解金支払いに基本合意したと発表済みだ。各社とも過失は認めていない。
ウォルマートの燃料費を除く8~10月期の既存店売上高は8%増えた。調整後の1株利益は1.50ドルと市場予想を上回った。在庫水準は前年同期比13%増と、5~7月期の25%増から伸びが縮小した。発注のキャンセルや値引きの拡大を通じて在庫過剰の解消を進めており、調整後の営業利益は4%増の60億ドルだった。
足元の収益改善を踏まえ、23年1月期通期の業績予想を上方修正した。調整後の営業利益は前期比6.5%減~7.5%減と、従来予想の9%減~11%減から減少幅が縮小する見通しだ。一方、11月末のブラックフライデーを含む22年11月~23年1月期は米国の既存店売上高が市場予想を下回る3%増になると予想する。
ジョン・レイニー最高財務責任者(CFO)は「食品や消耗品の持続的なインフレ圧力が、特に一般商品で消費を減速させる可能性がある」と指摘。ダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)はインフレ下で「家庭が価格に敏感になっている」と語り、12月末までの年末商戦で「売上高の推移を注意深く見守る必要がある」と述べた。
同日、200億ドルの自社株買いの計画も発表した。同社の株価は一時8%超上昇した。
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