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中米から米へ移民集団、再び活発化も ハリケーンで苦境

移民集団に参加したホンジュラスの人々(10日)=ロイター

【メキシコシティ=宮本英威】中米から米国を目指す移民集団「キャラバン」の動きが再び活発化する兆しが見られる。ハリケーン被害による経済苦境に加え、2021年1月に迫る米国でのバイデン次期政権の発足を見越し、移民政策の緩和を期待した動きだ。ただ関係国の政府は厳しく対応しており、米国国境までたどり着くのは容易ではなさそうだ。

中米ホンジュラスの北部サンペドロスラに集結した集団が米国に向けて出発したのは9日夜のことだった。妻といとこと共にキャラバンに参加した中年男性は、地元テレビの取材に「ハリケーンですべてを失った。米国に行く以外の選択肢はない」と述べた。

地元メディアによると、キャラバンには数百人が参加した。ただ10日にはホンジュラスの治安部隊が、キャラバン参加者にパスポート(旅券)や新型コロナウイルスの検査の陰性証明書の提示を求めたところ、大半の参加者は所持しておらず、解散に追い込まれた。

ホンジュラス警察から検査を受ける移民集団(10日、アグアカリエンテ郊外)=AP

移民集団の動きが再び出てきている背景は、11月に大型のハリケーン「エタ」と「イオタ」が相次いで中米を直撃したことだ。洪水や地滑りで家屋が倒壊し、道路も寸断された。コーヒーやバナナの農園にも損害は広がり、貧困層は就労先と住居を一気に失い、仕事を求めて米国への移民を考えざるを得なくなっている。

国連によると、ホンジュラスでは推定380万人、ニカラグアでは180万人、グアテマラでは170万人が影響を受けた。米州開発銀行(IDB)は、中米地域の被害総額は55億ドル(約5700億円)に達すると推計している。

米国のバイデン次期大統領は、トランプ大統領と比べて移民受け入れへの姿勢が寛容とみられている。中米地域の治安や脆弱な法制度への対策にも、4年間で40億ドルを投資する考えも示す。次期政権が発足する21年1月20日前後に米国への到着を目指す移民集団の動きが今後もありそうだ。

米国土安全保障省によると、メキシコ国境に近い米南西部での11月の不法移民の取り締まり数は7万52人となった。10月(7万539人)とほぼ同水準で、今年最も少ない4月の4.1倍に相当する。新型コロナの感染拡大を受けて20年前半は大幅に減少していたが、増加傾向が鮮明となっている。

ただ中米各国は米国との関係を考慮し、移民集団への対応を強化しており、米国への到達は容易ではなさそうだ。ホンジュラス移民局は「グアテマラとの間の国境通過の検査は厳しくしている」と指摘する。グアテマラ政府は、10月にはホンジュラスの移民集団に対して強制送還を通告して、米入国を断念させた。

国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)は、20年の中米の実質経済成長率がマイナス6.2%になると予測している。ハリケーン被害の拡大で下押しされる可能性が高そうだ。

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