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米中、気候変動で間合い探る ケリー米特使が初訪中

(更新)
ケリー米大統領特使㊧はバイデン政権の閣僚級としては初の訪中となる=ロイター

【ワシントン=永沢毅、北京=羽田野主】バイデン米政権で気候変動問題を担当するケリー大統領特使は15日、訪問先の上海で中国の解振華・気候変動担当特使と会談する。温暖化ガスの削減目標の強化などを求めるとみられる。一方、中国は独仏との首脳協議を16日に開くと発表、温暖化対策での主導権確保を図る。米中の駆け引きが激しくなっている。

「新冷戦」とも称されるほど米中対立が深まるなかで、ケリー氏はバイデン政権では初の閣僚級高官の訪中だ。バイデン大統領がこのタイミングでケリー氏を派遣した最大の理由は、22、23両日に米国が主催する「気候変動サミット」での協力を取り付けるためだ。

オンラインとはいえ、40カ国・地域の首脳が一堂に会するイベントはバイデン氏がめざす多国間枠組みへの米国の回帰を象徴する。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席はまだ出席の有無を明らかにしていない。世界最大の温暖化ガス排出国である中国が不在では、イベントの成功はおぼつかない。

ケリー氏は野心的な目標設定を促すとともに習氏の出席を働きかけるとみられる。「難題を解決するため、中国をテーブルに着かせる必要がある」。同氏は13日の米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューでこう語った。

中国側の準備も周到だ。外務省は15日、習氏が仏独首脳と気候変動を巡り16日にテレビ電話で協議すると発表した。欧州の中核を担う仏独と連携を確認し「気候変動サミット」で主導権の確保を狙う。

解氏はオバマ政権で国務長官を務めたケリー氏と、かつて温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」を巡って協議した。バイデン政権の発足にあたり、再登板となった。

ケリー氏は同じく旧知の中国外交トップ、楊潔篪(ヤン・ジエチー)共産党政治局員や王毅(ワン・イー)国務委員兼外相との会談も取り沙汰されている。

交渉の主導権は渡さない構えの中国だが、トランプ前政権と変わらぬバイデン政権の対中強硬姿勢を緩和する足がかりをつかもうと腐心する。今回、ケリー氏を招いた上海は中国側にとっては「米中和解」の雰囲気を醸成する舞台装置となる。

中国は4月上旬、後の米中国交正常化につながった1971年の「ピンポン外交」から50年を記念したイベントを上海で開き、米国の総領事館館員を招いて卓球の親善試合などを実施した。72年には米中間の最重要文書の一つで、両国の敵対関係に終止符を打った「上海コミュニケ」をまとめた。

ケリー氏の訪中は、気候変動が最重要テーマの一つとなるワシントンでの日米首脳会談と重なった。中国にしてみれば、米国が構築を急ぐ対中包囲網の中核となる日米関係にくさびを打つ効果もある。

バイデン政権はそうした中国の意図は見通している。「気候変動は独立した課題だ。米中が抱える他の深刻な隔たりとの取引材料にはならない」。ケリー氏はWSJのインタビューでこう述べ、気候変動で合意を優先するために安全保障や経済、人権など他の懸案で妥協しない方針を改めて示した。同床異夢のケリー氏訪中が米中対立の深刻さを映し出している。

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