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ウクライナ・Web3に関心集中 米テック祭典「SXSW」

米南部テキサス州で20日まで開催するテクノロジーの祭典「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」。現地で開くのは3年ぶりで、ブロックチェーン(分散型台帳)を基盤にしたインターネットの新潮流「Web3」が大きな関心を集めた。ロシアによるウクライナへの侵攻が進むなかで、同問題をめぐる議論も目立った。

ビールを片手にビジネスプランを投資家に売り込む――。通常は街中をお祭りムードが包むSXSWだが、今年はウクライナ侵攻が影を落とした。米メタ(旧フェイスブック)のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)からロシア出身のアーティストまで、多くの参加者がウクライナへの支援を口にした。

注目を集めたのは、地上と並ぶ主戦場となったサイバー空間での攻防に関する議論だ。元記者で米国土安全保障省(DHS)のアドバイザー(サイバーセキュリティー担当)を務めるニコール・パルロス氏は、過去にロシアがウクライナを実験台にしたサイバー攻撃の取材経験を披露した。

対サイバー攻撃「米国は脆弱」

ロシアのサイバー攻撃部隊には、他国の交通機能をまひさせたり、政府のデータベースを乗っ取ったりする能力があるという。パルロス氏は「今後の戦況の悪化とともに、ロシア側がこうしたサイバー攻撃を繰り出してくる可能性は高い」とみる。

攻撃の矛先が米国に向かう危険性も指摘する。2021年5月には米石油パイプライン最大手コロニアル・パイプラインがサイバー攻撃を受けて一時操業を停止し、エネルギー供給への不安が広がった。「米国のシステムは脆弱で、コロニアルのような攻撃を同時多発的に受ける事態への準備はできていない」とパルロス氏は警鐘を鳴らした。

一方で、米バイデン政権の対ロシア戦略が一定の成果を上げているという声も出た。アダム・シフ下院情報特別委員長(民主党)は「通常は高度な諜報(ちょうほう)情報を公開しないが、今回はあえて事前に衛星写真を公開したり、偽情報を暴いたりした。ロシアの計画を丸裸にすることができた」と言う。

ブロックチェーンが席巻

今後の普及が期待される技術では、ブロックチェーンを基盤とする技術・サービスが話題の中心になった。自律分散型組織(DAO)、分散型金融(DeFi)に携わる人たちが試行錯誤の様子を紹介するセッションはすぐに席が埋まり、非代替性トークン(NFT)の活用法を議論する対談も目立った。

ネット通販支援のショッピファイ(カナダ)はプロフィル画像用のNFTを手掛ける「Doodles」と組み、同ブランドやNFTを紹介する展示館を設けた。21年にNFT販売を支援するサービスを試験導入したのがきっかけだ。

担当ディレクターのロブレ・ジャマ氏は「ブランドは物理的な商品と(NFTのような)デジタル資産の両方を扱うようになる」と期待を寄せる。15日にはメタのザッカーバーグCEOも画像共有アプリ「インスタグラム」でNFT対応を進める考えを示した。

著名ベンチャーキャピタリストのジム・ブレイヤー氏は、力を入れている投資分野として「暗号資産(仮想通貨)」「人工知能(AI)」「サステナビリティー(持続可能性)」の3つを挙げた。「若手のベスト・アンド・ブライテスト(最も優秀で賢明な人材)がこの分野に集結している」と指摘する。

日本勢の影薄く、ZOZOは仮想人間

トーンダウンが顕著だったのが日本勢だ。新型コロナウイルス感染が広がる前の19年は経済産業省の後押しで「日本館」を設ける力の入れようだったが「コロナ鎖国」とも呼ばれる厳しい水際対策が最近まで続き、出張を見送る人が多かった。

そのなかで、衣料品通販大手ZOZOのグループ企業は展示会場に設けた巨大ブースで注目を集めた。立体的なアバター「バーチャルヒューマン」を数分で生成する技術を披露したほか、通販サイト「ゾゾタウン」で導入している足の形状や肌色の計測技術などを紹介した。

新規事業を手掛ける子会社、ZOZO NEXTの金山裕樹CEOは「感度が高い人たちが集まる場で技術を披露し、ビジネスの可能性を探りたい」と話す。ブースでは簡単な撮影と身長・体重の入力でアバターを作れるバーチャルヒューマンの技術展示を多くの人が試していた。オンライン試着などへの活用をもくろむ。

東京大学はスタートアップ創出努力の一環として14年に学生チームを現地に派遣する「Todai To Texas」を始め、19年まで技術や試作品を披露してきた。今年はコロナの影響で出展を取りやめた代わりに、約100人の学生がネットを通じて講演などを視聴している。(米南部オースティンで、清水石珠実、佐藤浩実)

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