米共和党、指導部人事で対立 中間選挙苦戦で混乱

【ワシントン=坂口幸裕】開票が続く米中間選挙で苦戦を強いられている野党・共和党が混乱している。トランプ前大統領に近い上院議員らは14日、週内に予定する執行部選出を、中間選挙の結果が確定する12月まで延期するよう要求した。無投票の再選が見込まれる人事案に異論を唱え、選挙結果の責任を現執行部に押しつける思惑が透ける。
混乱の発端となったのはトランプ氏のSNS(交流サイト)への投稿だった。米主要メディアが上院で与党・民主党が多数派を維持したと報じた翌13日、SNS上で「(上院トップの院内総務)マコネルのせいだ。中間選挙を台無しにした」と決めつけた。
トランプ氏と確執があるマコネル氏は、西部アリゾナ州の上院選で敗れたトランプ氏の推薦候補、ブレイク・マスターズ氏への資金を選挙戦の途中で停止した。当選する可能性が高い他の候補に資金を振り向けるためだったとしているが、マコネル氏の院内総務続投を支持しないと公言したマスターズ氏への意趣返しとみる向きがある。
激戦になったアリゾナで共和が勝利していれば、12月6日に決選投票を実施する南部ジョージア州まで上院多数派の行方は持ち越されていた。トランプ氏に近いリンゼー・グラム氏やテッド・クルーズ氏らは16日の指導部人事を決選投票後に延期すべきだと要求。マコネル氏の戦略が失敗したと決めつけ、再選を阻もうともくろむ。
こうした動きの背景には、中間選挙で共和が伸び悩んだ責任論がトランプ氏にふりかかるのを回避する狙いがある。上院の行方を決めた激戦州でトランプ氏が推薦した共和候補は無党派を取り込んだ民主候補に相次ぎ敗れ、「(同氏の)影響力が衰えた」との批判がくすぶるためだ。
米メディアによると、現執行部は予定通り16日に人事を断行する構えを崩していない。中間選挙での苦戦を受けた内紛が長引くおそれもある。
共和内には、選挙の大勢が判明していない下院でも、週内に予定する幹部人事を先送りすべきだとの意見がある。下院で多数派を奪還した場合、次期下院議長の候補に有力視されている共和トップのマッカーシー院内総務を揺さぶり、議会運営の主導権を握りたい保守派による駆け引きの側面がある。