J&J、ベビーパウダー事業の破産申請

【ニューヨーク=野村優子】米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は14日、ベビーパウダー訴訟の巨額の賠償金支払いを巡り、新設したベビーパウダー事業の子会社について日本の民事再生法に相当する米連邦破産法11条(チャプター11)を申請したと発表した。同事業の負債を本体から切り離し、分離後の事業を破産申請した。
J&Jは同日の声明で「(問題のベビーパウダーの原料となる)『タルク(滑石)』に関する全ての申し立てを解決することを目的としている」と述べた。ロイター通信などはこれまで、J&J側の弁護士が原告団に対し、原告との和解が成立しなければ同社は破産法の適用申請を検討し、賠償金が少なくなる可能性があると説明したと報じていた。
J&Jはタルクを原料としたベビーパウダーが、がんなどの健康被害を引き起こしたとして、3万人を超える原告から提訴された。6月にはベビーパウダーを使った20人以上の女性が卵巣がんを発症したとする裁判で、21億ドル(約2390億円)の賠償金支払い命令が確定していた。