米鉄道の巨額買収合戦、カナディアン・ナショナルに軍配

【ニューヨーク=白岩ひおな】米鉄道大手カンザスシティー・サザン(KCサザン)は13日、同業のカナディアン・ナショナル鉄道からの買収提案を受け入れると発表した。債務を含む買収総額は336億ドル(約3兆6760億円)。カナディアン・ナショナルに先んじて合意したカナディアン・パシフィック鉄道には買収契約の破談を通知した。カナダ2社の買収合戦は競合を上回る価格を提示したカナディアン・ナショナルに軍配が上がった。
KCサザンは、カナディアン・ナショナルによる買収案は290億ドルの買収額を提示したカナディアン・パシフィックの案より「優れている」とした。カナディアン・ナショナルは1株当たり325ドルをKCサザンに支払う。さらに、カナディアン・ナショナルはKCサザンからカナディアン・パシフィックに支払う違約金も負担することで合意した。
一方、カナディアン・パシフィックは21日まで、買収の代替案を提示する時間が与えられる。同社はカナディアン・ナショナルの買収案は「非競争的」だとしつつ、買収を争わない考えを示した。
カナディアン・ナショナルはKCサザンを傘下に収めることで、米国、メキシコ、カナダの鉄道網を一体運営する初の企業となる。KCサザンは米中西部やメキシコを結ぶ輸送網を持ち、自動車などの工業製品や農産品の貿易に重要な役割を持つ。
米国、メキシコ、カナダの3カ国の新たな貿易協定(USMCA)発効や供給網(サプライチェーン)の見直しで域内の輸送需要は中長期的に拡大を見込む。買収により広域でのサービス拡大に弾みをつける。
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