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米議会占拠に「新証拠」 前政権の黙認疑惑深まる

下院、トランプ氏元側近の起訴要求

【ワシントン=芦塚智子】米国で1月に起きた連邦議会占拠事件をめぐり、トランプ前政権が事件を黙認した疑惑が深まってきた。政権に近い多数の人物からトランプ前大統領に襲撃制止を求める意見がホワイトハウスに相次いで寄せられていたことが判明したからだ。

米議会下院は14日の本会議で、トランプ氏の首席補佐官を務めたマーク・メドウズ氏の起訴を司法省に求める決議を賛成多数で可決した。議会占拠事件を巡る特別委員会の調査への協力が十分でなく議会侮辱罪にあたると判断した。司法省はメドウズ氏を起訴するかどうか判断する。

占拠事件は、2020年11月の大統領選での敗北を認めないトランプ氏の支持者が起こした。事件発生時は議会でトランプ氏の敗北を正式に決める最終手続きが進んでいた。特別委員会は事件の経緯を調べ、トランプ氏や側近が支持者を扇動して襲撃を黙認していた疑惑の真相に迫ってきた。

メドウズ氏は事件当日や前後の周辺とのやり取りを示す電子メールや携帯電話のテキストメッセージなどを特別委員会に提出。当時の状況が明らかになってきた。

特別委員会が公表したテキストメッセージなどによると、トランプ氏の長男ジュニア氏はメドウズ氏に「彼(トランプ氏)は即刻、このまずい事態を非難しなくてはいけない」と訴え、メドウズ氏は「一生懸命説得している。同意する」と答えた。

保守系のFOXニュースの司会者もメドウズ氏に「大統領は議会内の人々に帰宅するよう伝える必要がある。彼は自分のレガシー(政治的遺産)を破壊している」などと要請。議員や政権当局者らも「彼はこれを止めなくてはならない。今すぐ」「殺される人が出る」などトランプ氏の対応を懇願するメッセージをメドウズ氏に送った。

トランプ氏に近い人物が占拠事件を止めるよう相次いで要求したことは、トランプ政権の対応が後手に回っていた可能性を浮き彫りにする。米メディアは当時、トランプ氏が暴動鎮圧に向けた州兵の動員に反対したと報じ、同氏が襲撃を黙認していたとの見方が浮上していた。

特別委員会のチェイニー副委員長(共和党)は、トランプ氏が187分間にわたり対応を拒否したとして「これらのテキストメッセージはトランプ氏の職務怠慢のさらなる証拠だ」と主張。トランプ氏が敗北確定の妨害を意図していたかどうかを判断するために、メドウズ氏の証言を要求している。

また特別委員会がまとめたメドウズ氏の起訴を求める報告書によると、メドウズ氏は議会占拠事件の前日、トランプ氏支持者を保護するために州兵を動員する可能性を示唆するメールを何者かに送っていた。州兵の動員遅れが問題となっており、同委員会はメドウズ氏にこのメールについて説明を求めている。

メドウズ氏の起訴を求める決議は下院で多数派を占める民主党議員の全員が賛成。共和党からの賛成はチェイニー氏を含む2人だけで、大半は反対に回った。与野党対立が一段と強まる。

民主党は22年11月の中間選挙をにらみ、議会占拠事件から1年となる1月6日の節目に向けて前政権が事件を黙認し事態を悪化させた疑惑をあらためて追及したい考えだ。ただ、今年11月のバージニア州知事選では「反トランプ」を前面に押し出す民主党の戦略が不発に終わっており、疑惑追及がバイデン政権へ有利に働くかは不透明だ。

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