史上最大のネズミ講詐欺師 マドフ受刑者死去 - 日本経済新聞
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史上最大のネズミ講詐欺師 マドフ受刑者死去

【ニューヨーク=伴百江】史上最大のネズミ講詐欺とされる事件の首謀者で元ナスダック・ストック・マーケット会長のバーナード・マドフ受刑者が米ノースカロライナ州の連邦刑務所で死去した。82歳だった。事件は日本の金融機関も含む米国内外の著名投資家を巻き込み、被害総額は含み損ベースで650億ドル(約7兆円)に上った。禁錮150年の判決を受け、服役中だった。

マドフ受刑者は年率10%の利回りを着実に出すとの触れ込みの投資ファンドを運用し、口コミで国内外の投資家から資金を集めていた。もっとも運用の中身は投資家から集めた元本を取り崩しながら毎年の配当に充てるという自転車操業だった。しかし、「マドフ氏のファンドはもうかる」という噂が広がり、新規の資金が流入して運用資産残高は増えていった。

著名投資家からの投資資金はまさにネズミ講式に増えていった。ナスダックの会長や米証券業協会(NASD)の会長まで上り詰めた人物が運用するファンドなだけに、ユダヤ人コミュニティーや知り合いの口添えを通じてしか投資できないという特権階級意識も手伝ったされる。被害者には映画監督のスティーブン・スピルバーグ氏、米大リーグ球団ニューヨーク・メッツのオーナー、野村ホールディングスあおぞら銀行まで米国内外の著名投資家や金融機関が名を連ねた。マドフ・ファンドへの投資家数は延べ約4万人、130カ国に上った。

しかし、リーマン・ショック後に金融機関や投資家のファンド解約が急増すると、マドフ・ファンドは解約金の支払いができなくなり、破綻。2008年12月に逮捕された。「史上最大の詐欺師」とその被害者も、金融危機の影響を受けた。

マドフ受刑者のファンド運用の違法性を早くから見抜いた会計専門家のハリー・マルコポロス氏は何度も米証券取引委員会(SEC)に告発していた。SECはそれを無視して被害が拡大したともいわれ、SECの歴史に汚点を残した。その後SECが違法行為の告発者への対応を重視するルールを導入するなど、マドフ事件は規制当局へも影響を及ぼした。

マドフ氏の逮捕後、米司法省任命の管財人が投資家の損失回収にあたり、これまでに約32億ドルが投資家に返還された。

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