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FRB議長、量的緩和縮小の条件「まだ先」

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【ワシントン=大越匡洋】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は14日、米下院委員会で証言した。国債などの資産を購入する量的緩和の縮小(テーパリング)を始める条件をめぐり、物価安定と最大雇用という目標の実現に向けた「『さらなる著しい進展』という基準に達するのはまだ先」との認識を示した。

6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月に比べ5.4%上昇し、目標の2%を大きく上回る。パウエル議長はインフレの加速は「一時的」との認識を変えず、「今後数カ月は伸びが高いまま推移し、その後は和らぐ」との見通しを示した。需要が急回復する局面に供給制約が重なっていることが物価を押し上げているなどと説明した。

さらに「早まって動けば間違いになりかねない」と語り、拙速な引き締めに慎重な姿勢を示した。

同時にインフレが行き過ぎないよう警戒するとも表明し、「我々は2%の水準に戻す政策ツールを持っている」と自信をみせた。「物価上昇率や長期的なインフレ期待の経路が目標と一致する水準を大きく、かつ持続的に超えている兆候がみられた場合は適切に金融政策のスタンスを調整する用意がある」と述べた。

雇用は「(最大雇用までの)道のりは長い」と話し、労働参加率が低いまま停滞していることや人種間の格差が大きい点などに懸念を示した。

テーパリング開始の条件である「さらなる著しい進展」について「意味するところを正確に示すことは難しい」と語り、実際に着手する前に市場と十分に対話を重ねると訴えた。市場では今年終盤から来年初めにテーパリングが始まるとの見方が多い。

FRBとして中央銀行デジタル通貨(CBDC)の論点をまとめる報告書の公表は9月初めになると語った。FRBは年2回、米議会に金融政策報告書(通称ハンフリー・ホーキンス報告書)を提出し、政策判断を説明する。パウエル議長は15日に上院で証言する。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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