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コロナワクチン、米でやまぬ懐疑論 接種開始から2年

(更新)

【ニューヨーク=山内菜穂子】新型コロナウイルスワクチンの米国での接種開始から2年がたった。ワクチンが米国で300万人超の命を救ったとの試算が出た一方、共和党内で人気がある南部フロリダ州のデサンティス知事はワクチンの有効性や副作用を調査する考えを示した。ワクチンの懐疑論は根深く、新たな感染症への備えに影響を及ぼす可能性がある。

米国では2020年12月14日、ニューヨーク市の病院に勤務する看護師が初めて接種を受けた。第1弾となる約300万回分のワクチンが各地に送られ、医療従事者を優先し接種が始まった。

これまでに米国内で接種されたワクチンは6億6000万回分にのぼる。米人口の8割が少なくとも1回、接種を受けた。エール大などの研究者は13日、ワクチンによって1859万人が重症化せず、326万人の命を救ったとの試算を発表。およそ1兆1500億ドル(約155兆円)の医療費を節約できたと分析した。

民主党のバイデン大統領は21年秋、大企業の従業員などを対象に接種を義務づける方針を打ち出した。「個人の自由」を侵害するとして共和党が猛反発し、反ワクチン派の声も大きくなった。感染防止対策を重視する民主党との立場の違いは鮮明となり、22年11月の米中間選挙の争点にもなった。

ワクチンをめぐる対立は今も続いている。

「フロリダでは薬の効能について誤解を招いたり、虚偽の説明をしたりするのは法律違反だ」。2024年の次期大統領選で共和党の有力候補と目されるデサンティス氏は13日、接種を推奨する米疾病対策センター(CDC)に対抗するため、研究者や医師らが参加する州の委員会を立ち上げると語った。

同氏は州最高裁判所に対し、州全体の問題を調査する権限を持つ大陪審の招集を求める意向も示している。ワクチン懐疑論を前面に出して注目を集めることで、州内外の保守層からの支持を固める狙いがあると見られている。

CDCによると、オミクロン型対応のコロナワクチンの接種率は接種可能な人口の13.5%にとどまる。米国内では人が集まる機会が増える年末に向けて、コロナとインフルエンザ、呼吸器疾患を引き起こすRSウイルスが同時に流行する「トリプルデミック」への懸念も高まっている。

ワクチンをめぐる対立が長びくなか、一部の州では子どもの定期のワクチン接種率が低下している。フロリダ州で21年秋からの1年間の幼児の定期予防接種率が91.7%と過去10年で最も低くなった。

地元メディアは「コロナワクチンへのためらいが他のワクチン接種率の低下に拍車をかけている」との医師のコメントを紹介した。西部アリゾナ州や同アイダホ州などでも同様の傾向があるという。接種の遅れが続けば新たな感染症の拡大につながりかねないとの懸念も出ている。

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