/

正常化、地域・業種で敗者も 米元財務次官に聞く

米経済の再生 格差是正のハードル高く

元米財務次官のネイサン・シーツ氏

経済活動の再開と強力な経済対策で、米景気は急回復に向かっている。米経済は新型コロナウイルスの危機からどのように再生していくのか。元米財務次官のネイサン・シーツ氏に聞いた。

――2021年の米経済の見通しは。

「2021年の米経済成長率は6.5%と予測している。(四半期ごとにみると)年率10%以上の成長が1~2四半期続く非常に強い回復となりそうだ。強力な財政刺激に加え、家計はコロナ流行後、1兆5000億ドル(約163兆円)以上も貯蓄した。今後、ワクチン接種が進み、人々は不安を抱かずに支出するようになるだろう」

「企業は商品やサービスを提供するため、再び十分な雇用を確保せねばならない。原油価格の上昇でガソリン価格の伸び率も上がるため、今年後半までインフレ率は高くなりそうだ」

「米連邦準備理事会(FRB)はインフレは一時的だとみており、強力な金融緩和を続ける可能性が高い。資産購入の縮小は2022年1~3月ごろとなり、利上げは24年までしないとみている」

――コロナが収束に向かっても働き方は従来と変わりそうです。

「(ニューヨーク市近郊の)コネティカット州グリニッジなど不動産が人気だ。在宅勤務が増え、若者など郊外に住もうとする人が増えた。一方で都市部の賃貸住宅市場は低迷している。都市部のオフィスはコロナが収束して、それほど広さを必要としなくなる可能性がある」

「技術進歩も相まって、これから対面とオンライン会議の適切な組み合わせが洗練されていく。従来なら都市部でしか就けなかった仕事も郊外にいながら働けるようになる。長い目で見れば労働力は効率的に配分され、生産性が上がっていく」

「ただ、変化の過程では摩擦も起こるだろう。たとえば都市部のサービス事業者は不利になる。業種や地域によっては敗者も出てしまう。ニューヨークなど米国の大都市はこれまでも苦境に陥っては再構築を見いだしてきた。数年の姿はわからないが、再興することを期待している」

――バイデン政権は格差是正を目指しています。

「上位1%の富裕層が持つ所得や資産は極めて大きくなった。富が偏ると、低所得者層が自分のスキルを磨き、社会に貢献する機会を得られなくなるおそれがあり、深刻な問題だ」

「バイデン政権のインフラ投資のねらいは格差解消にある。道路や橋、電力網などインフラは誰もが幅広く利用できるものだ。医療や育児支援など、これまで十分なサービスを受けられなかった人にも機会を広げる。3月に決まった経済対策も中間層や低所得者層への家計支援が軸だった。一方で、増税は高所得者に焦点を当てる」

「格差解消のハードルは高い。テクノロジーは高収入の仕事を生み出す一方、自動化などで単純労働は減ってしまった。急速な技術進歩を伴うグローバルな経済成長は多くの人が熱狂的だった20年前とは状況が異なる」

(聞き手はニューヨーク=後藤達也)

Nathan Sheets FRB国際金融局長を務め、オバマ政権で財務次官(国際担当)に。56歳

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

新型コロナ

新型コロナウイルスの関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。

ワクチン・治療薬 休業・補償 ビジネス 国内 海外 感染状況

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン