Microsoft社長「ソニーは独占ゲーム286本」 米訴訟巡り

【シリコンバレー=佐藤浩実】米マイクロソフトのブラッド・スミス社長は13日、米ゲーム大手の買収をめぐって米連邦取引委員会(FTC)が起こした訴訟について「失望している」と述べた。FTCに対して有力ソフトの他社への長期供給を確約することを提案したが、「話し合う機会すら与えられなかった」という。自社の株主総会で質疑に答えるかたちで説明した。
FTCは8日に、マイクロソフトと、同社が687億ドル(発表時の為替レートで約8兆円)を投じて買収を計画する米アクティビジョン・ブリザードを訴えた。公正な競争が失われる恐れがあるとして、買収を阻止するのが狙いだ。
スミス氏はFTCが訴状で挙げた「高性能ゲーム機」の市場に関し、ソニーグループの「プレイステーション」のシェアが70%にのぼり、マイクロソフトの「Xbox」は30%にとどまることを強調した。「FTCの訴訟によって競争は促されるのか、むしろ最大手を競争から守るのか、判事は判断を迫られるだろう」と指摘した。
作品の囲い込みに対する懸念にも言及した。ゲーム機メーカーが利用者の定着をはかるために独占タイトルをそろえる動きは一般的との見解を示したうえで、「ソニーが独占するゲームタイトルは286本、Xboxは59本だ」と指摘した。買収が成立した場合に、アクティビジョンの人気ソフト「コール・オブ・デューティ(CoD)」を自社で独占しない方針も改めて示した。
マイクロソフトは12月上旬、任天堂と「スイッチ」向けに10年間にわたって同作品を供給することで合意した。ソニーGに対しても同様の申し出をしたことを明かしており「解決策を見つけたいので、ソニーが会いたい時にはいつでも会う」と述べた。
アクティビジョンの買収をめぐってはソニーGによるロビイングが当局による提訴を後押ししたとみられている。FTCはクラウドゲームや定額制配信サービスでの将来的な競争阻害の恐れも指摘しているが、13日の株主総会ではスミス氏はこれらの点については説明しなかった。