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トランプ氏、起訴のリスク消えず 刑事捜査は継続

トランプ前米大統領は自身や家族の恩赦を見送っていた=AP

【ワシントン=中村亮】米議会上院の弾劾裁判は13日、トランプ前大統領に無罪評決を下し、今後は司法当局がトランプ氏の不正疑惑を追及する役割を担う。2020年11月の大統領選や女性問題、資金取引に関する疑惑が山積し、当局がトランプ氏の起訴に踏み切るかどうかが焦点になる。

「この国には刑事司法システムがある。民事訴訟もある。前大統領はどちらからの責任追及も免除されていない」。共和党上院トップのマコネル院内総務は13日、上院本会議での演説でこう指摘した。議会によるトランプ氏の追及は2回目の無罪評決で決着したが、これとは別に司法当局の捜査は今後も続くとの見方を示したものだ。

司法省は1973年の指針で、現職大統領を原則として起訴できないと規定。トランプ氏の大統領在任中に不正疑惑を追及する役割は議会が担ってきた。トランプ氏は1月20日に政権を去り、司法省の指針の適用対象外となって現在は刑事捜査の手が及びやすくなった。

トランプ氏は1月、20年11月の大統領選の結果をめぐり南部ジョージア州のブラッド・ラフェンスパーガー州務長官に電話し、自身の敗北を覆すための票を「見つける」よう要請した。同州フルトン地区のファニ・ウィリス検事は今月10日、ラフェンスパーガー氏に宛てた書簡で電話記録を保存するよう要請し、トランプ氏に対する刑事捜査に着手した。

ジョージア州法では選挙不正の要請や指示を違法行為と明示する。連邦法にも同様の規定あるが、悪意や不正の意図を証明する必要がありハードルが高いとされる。専門家からは州法に基づく捜査のほうが起訴に至る可能性が高いとの見方がある。下院は1月に可決したトランプ氏に対する弾劾決議でラフェンスパーガー氏との電話に強い懸念を示し、民主党から刑事捜査を求める声が広がっていた。

東部ニューヨーク州の検察当局はトランプ氏の一族が経営する「トランプ・オーガニゼーション」の脱税や不正な資金取引の疑いについて捜査している。当局は捜査に関連し、連邦最高裁判所でトランプ氏の財務記録の開示をめぐる訴訟を続けている。ロイター通信によると、当局は最近数カ月で関係者に対する聴取を加速させていたという。

女性をめぐっては、トランプ氏の元顧問弁護士マイケル・コーエン氏が16年の大統領選直前にトランプ氏が不倫関係にあった元ポルノ女優に口止め料を支払った問題がある。検察は口止め料がトランプ氏のスキャンダルを防いで大統領選への悪影響を避ける狙いがあり、政治献金と判断。献金額が連邦法の定める上限を超えたためコーエン氏を起訴し、有罪判決が下った。

検察は口止め料の支払いについてトランプ氏の指示があったと指摘。トランプ氏は共犯者とみられたが、同氏の起訴は見送られた。現職大統領を起訴しない司法省の指針が壁になったとみられていた。

捜査のメスはトランプ氏の周辺にも及ぶ。長女イバンカ氏は20年12月、トランプ氏の大統領就任式実行委員会が政治資金を不正に使った疑いについて捜査を受けたと明らかにした。長男ジュニア氏や最側近の一人であるジュリアーニ元ニューヨーク市長もトランプ氏とともに議会占拠事件を扇動したとの疑いが残る。

トランプ氏は退任後の起訴に備え、自身や家族に対する恩赦を検討したとされるが最終的に見送った。恩赦は大統領権限の乱用との強い批判を浴びる可能性があったためとみられる。恩赦を行った場合でも適用対象は連邦法違反に限られ、州法違反による実刑のリスクは残ることになっていた。

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