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トランプ氏復権へ意欲 「報復」必至、共和の結束に影

トランプ前大統領は共和党の造反議員に「報復」をしかける=AP

【ワシントン=永沢毅】米上院でのトランプ前大統領の弾劾裁判は野党・共和党議員の大半が無罪を支持して結審した。トランプ氏は「米国を再び偉大にする歴史的な運動は始まったばかりだ」との声明を出し復権に意欲を示した。7人の造反をだした共和党はトランプ氏が報復を辞さない構えで、亀裂拡大の不安を抱える。弾劾裁判があらわにした分断は党派間にとどまらない。

「前大統領が実質的にも道徳上も責任があるのは疑いない」。共和の上院トップ、マコネル院内総務は評決後の上院本会議でこう語った。自身が「無罪」に投じたのは、退任した前大統領への弾劾裁判は「違憲」と判断したからで、トランプ氏本人には問題があると言わんばかりの口ぶりだった。

マコネル氏は当初、トランプ氏を有罪とみなす可能性を排除しない構えを示していた。党として一致して無罪評決をめざす方針を公言した初回の弾劾裁判との違いは明白だった。それでも無罪を選んだのは、これ以上の党の分断を恐れたためにほかならない。

米CBSの世論調査によると、「トランプ氏が新党をつくった場合は参加するか」との問いに共和党支持者の7割が前向きな回答をした。事実上の党の分裂と支持者離れは上下両院の過半数奪還をめざす2022年秋の中間選挙に打撃となり、マコネル氏には到底受け入れられない。

新党構想を検討したとされるトランプ氏は1月下旬、共和の下院トップのマッカーシー院内総務との会談で、中間選挙で共和党に協力すると確約。いったん矛を収めた。トランプ氏の支持者の反乱を招いては党運営は成り立たないとみたマコネル氏はほぼ同じタイミングで裁判を「違憲」とみなす判断を示し、先行き不透明だった弾劾裁判の着地点はほぼみえた。

それでも共和党の内紛はおさまりそうにない。「トランプ氏を裏切った造反者は次の選挙では生き残れない。『親トランプ派』に制圧されることになる」。トランプ前政権で大統領副補佐官を務めた保守派のセバスチャン・ゴルカ氏はこう明かす。

共和党は上院の裁判に先立つ下院の弾劾決議では下院ナンバー3のリズ・チェイニー氏ら10人の造反議員をだした。トランプ氏は22年中間選挙に向けて党の候補を絞り込む予備選で、造反者の選挙区で親トランプ派の「刺客」を擁立する方針だ。

ゴルカ氏ら親トランプ派には、ビジネス界から転身し大統領就任前は政治経験ゼロのトランプ氏が代表する「反エスタブリッシュメント(支配層)」が党運営の主導権を握るべきだと映る。元副大統領の長女であるチェイニー氏は党主流派の代表格で、「亜流」のトランプ氏とはそもそも相いれない。

チェイニー氏の地元、西部ワイオミング州の共和党中央委員会は6日、同氏への非難決議を賛成多数で可決した。同州はトランプ氏の影響力が大きく、早くも前哨戦は始まっている。

13日の投票で造反した7人の上院議員のうち、22年に選挙を控えるのは父から地盤を譲り受けて選挙に強いアラスカ州選出のマコウスキー氏1人だけだ。トランプ氏からの「報復」を恐れる議員心理がうかがえる。

「トランプ色」が強まる現状を懸念する党主流派は焦りを強める。ロイター通信によると、レーガン、ブッシュ政権(第43代)など共和党政権の元高官が2月上旬、中道右派の新党構想を話し合うためビデオ会議システムのズームを用いて会合を開いたという。

24年大統領選に向けた駆け引きも始まっている。トランプ前政権で国連大使を務めたニッキー・ヘイリー氏は「私たちは彼に耳を傾けるべきではなかった」と米誌のインタビューでトランプ氏を批判した。24年の出馬をうかがうヘイリー氏は潜在的なライバルとなるトランプ氏をけん制する。

「弾劾裁判は民主、共和両党がどうやっても相いれないという分断の深刻さを鮮明にした」(共和党系コンサルタントのダグラス・ヘイ氏)。同時に鮮明になった共和党内の亀裂は民主党を利し、伝統的な二大政党の揺らぎを映し出す。

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