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米国、飛行物体「偵察リスク排除できず撃墜」 国籍は不明

(更新)

【ワシントン=坂口幸裕】米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は13日の記者会見で、米軍が10〜12日に米国とカナダ上空で撃墜した飛行物体について「(米国を)偵察していたと疑う具体的な理由はないものの、可能性を排除できなかった」と述べた。国籍や所有者は明らかになっていないと強調した。

米軍は4日に中国の偵察気球を撃墜したのに続き、10〜12日に3日連続で飛行物体を撃ち落とした。米政府は中国の偵察気球については情報収集活動だったと断定する一方、10日以降の飛行物体を巡っては「(飛行高度が)民間航空機の運航に危険を及ぼす可能性がある」と判断して撃ち落としたと説明していた。

カービー氏は10〜12日の飛行物体に通信や操縦などの機能はなかったなどと指摘した。「物体が移動中に軍事・機密施設の上空を通過するおそれがあったため慎重を期してバイデン大統領は撃墜を指示した」と明らかにした。

バイデン氏は13日、ホワイトハウスのサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)に米国の脅威となる飛行物体の探知や分析などの能力を向上させる省庁横断の検証チームを設置するよう指示した。

カービー氏は「何が起きたか研究を続け、(安全保障政策に)影響が出ないように関係機関の協力体制を構築する」と話した。過去の政権や外国で中国の偵察気球をただちに把握できなかった経緯に触れ「高高度をゆっくり移動する物体はレーダーでの探知が難しい」と訴えた。

中国外務省の汪文斌副報道局長は13日の記者会見で、2022年に米国の気球が10回あまり中国の領空に侵入したと主張した。カービー氏は「米国は中国領空に偵察気球や他の航空機を飛ばしていない」と改めて否定。「中国人民解放軍が気球による情報収集に関与していると突き止めた」と明言した。

日米韓は13日の外務次官協議で、中国の偵察気球についても議論した。シャーマン米国務副長官は終了後の共同記者会見で「中国の偵察装置で米領空にあった」と撃墜したのは正当だと力説した。

日本の森健良外務次官は「米国は国民の安全、自国の主権を守るために合法的に対応した。米国の立場を支持すると説明した」と述べた。韓国の趙賢東(チョ・ヒョンドン)外務第1次官は「いかなる主権侵害も容認できない」と唱えた。

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