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NY州、大手ステーブルコインの発行停止令 SECも調査

【ニューヨーク=大島有美子】米ニューヨーク州金融サービス局(DFS)は13日、暗号資産(仮想通貨)交換業大手バイナンスのステーブルコイン「バイナンスUSドル(BUSD)」を発行する米仮想通貨関連企業パクソス・トラストに対し、新規発行を停止するよう命じた。米証券取引委員会(SEC)が投資家保護に違反しているとしてパクソスを提訴する方針も明らかになった。米当局による仮想通貨の監視の目が厳しさを増している。

ステーブルコインは米ドルなど法定通貨と連動する。パクソスは13日、21日付でBUSDの発行を停止し、バイナンスとの関係を終えると発表した。両社はバイナンスブランドでのステーブルコイン発行のため2019年に提携し、DFSの認可を得ていた。

パクソスは13日の声明で「すべてのBUSDは米ドル建ての準備金と1対1で裏付けられ、分別管理されている」と強調した。既に発行したコインの管理は当面続ける。ロイター通信はDFSが発行停止措置に至った理由について、パクソスが悪意を持った者から顧客を守るため求められている義務に違反したためと伝えた。

情報サイトのコインマーケットキャップによると、BUSDの価格は13日、前日比で0.1%近く下落する場面があった。BUSDはステーブルコインで最大手のテザーやUSDコインに次ぐ3番目の時価総額をもつ。バイナンスのチャンポン・ジャオ最高経営責任者(CEO)は13日、ツイッターでパクソスの声明を引用し裏付け資産の安全性を強調したうえで「ユーザーは他のコインに移行していくだろう」と述べた。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ、電子版)は12日、BUSDが投資家保護に違反しているとして、SECがパクソスの提訴を検討していると報じた。SECがBUSDを無登録の有価証券とみなして調査しているという。

仮想通貨取引のインフラとして使われるステーブルコインを有価証券とみなすか、決済手段としてみなすかで適用する規制や当局の管轄は異なる。バイナンスのジャオ氏は13日、「裁判所がBUSDを証券とする判断を下せば、仮想通貨業界に重大な影響を与える」と警戒した。ある当局関係者は「非常に難しい線引きだが、SECは自身の領域だと宣言した」と受け止める。

米ホワイトハウスは仮想通貨規制の早期導入を米議会に求めているが、進みは遅い。野党・共和党議員はSECのゲンスラー委員長に対し、交換業大手FTXの破綻を巡って責任を追及する姿勢を強めている。米投資会社カウエンのジャレット・セイバーグ氏は「立法での措置が進まないにもかかわらず、混乱が起きればゲンスラー氏が責任を問われる。SECは執行による(強硬な)措置を継続するだろう」とみる。

SECは9日、仮想通貨交換業クラーケンがステーキング事業を停止し、SECに3000万ドル(約40億円)の制裁金を支払い和解すると発表した。ステーキングとは仮想通貨を預け入れてブロックチェーン(分散型台帳)のネットワークに参加し、報酬を得る仕組み。SECは同事業が未登録の証券販売にあたるとして調査していた。

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