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米国防長官「AIで軍事的優位を向上」 中国に対抗

(更新)
オースティン米国防長官はAI活用を通じて「米軍の即応性が飛躍的に高まる」と強調した=ロイター

【ワシントン=中村亮】オースティン米国防長官は13日の講演で「人工知能(AI)の活用を通じ、将来の軍事的優位性を向上できる」と強調した。AI関連の研究開発に今後5年間で約15億㌦(約1650億円)を投じると表明した。中国との競争に備え、先端技術を駆使した新しい戦い方への転換を急ぐ。

オースティン氏は米議会の独立委員会が主催した国際会議で講演し「今後10年間の技術革新は過去50年間よりも多いだろう」と予測。AI活用を通じて「米軍の効率性や俊敏性、即応性が近い将来に飛躍的に高まる」と強調した。米防衛大手企業だけでなく、大学やベンチャー企業との協力を増やして先端技術の活用を推進すると説明した。

念頭にあるのは中国との競争だ。オースティン氏は中国が情報収集やサイバー攻撃、無人兵器にAI活用を進めていると警戒感を示し「我々は勝利するために競争する」と強調した。AI活用をめぐり「競争相手は付け入る隙があると思っている」と指摘。「我々は将来的に中核となる製品や技術を開発して優位に立つ」と訴えた。

オースティン氏は5月、「全領域統合指揮統制(JADC2)」と呼ばれる戦略構想の文書を承認した。陸海空や宇宙の各軍、海兵隊の監視・偵察データを一つのネットワークに統合。AIなどが情報を処理し、敵の位置や最適な攻撃手段を司令官に伝え、作戦を実行に移す。戦況把握から作戦実行にかかる時間を大幅に短縮する次世代の統合戦略と位置づけられている。

新戦略はテロとの戦いからの転換を目指す米軍を象徴する。中東のテロ組織との戦闘では、米軍が陸海空や宇宙、サイバーの各領域で圧倒的な優位性を持ち、米軍のペースで部隊を集結させて攻撃を実行できた。中国は各領域で米国に迫り、中国本土に近い西太平洋では米国を上回っているとの見方もある。米中が各領域で互角の能力を持つとすれば、情報をいかに早く集めて処理し、作戦を実行に移すかがカギになる。

米軍高官によると、JADC2の実現に向けて米軍は同盟国を中心に30カ国以上との協力を探っている。米軍は有事の際に同盟国と共同作戦を行ったり、同盟国の協力を得たりする可能性が高い。同盟国の部隊が持つデータも取り込んで情報の精度を上げる狙いがある。

オースティン氏は講演で「AI活用は制御可能なものであるべきだ」とも語った。AIを搭載し、人間の判断を介さずに自律的に攻撃を行う兵器「キラーロボット」に対して批判が強いことを念頭に置いている。AIの軍事利用をめぐっては国際的な規制の議論が進んでおらず、リビア内戦でキラーロボットが使われた疑いが浮上している。

国際会議ではブリンケン国務長官も講演し、外交政策を効率的に進めるためのデータ戦略を数週間以内に公表すると明らかにした。たとえば膨大なデータを使って、紛争や飢饉(ききん)、経済危機が起きる地域などを予測し、先回りして対応を行える態勢を目指す。

サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は講演で、日米とインド、オーストラリアの枠組み(クアッド)で先端技術に関する作業部会を設けたことに触れ、高速通信規格「5G」やサプライチェーンをめぐり協力を深めていく考えを示した。

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