米大統領選、選挙人が投票開始 バイデン氏過半数見通し
トランプ氏の対応焦点

【ワシントン=中村亮】米国で14日、11月3日の大統領選を受けて選ばれた各州の選挙人による大統領を正式に選出するための投票が始まった。当選を確実にしている民主党のバイデン前副大統領が正式な選出に必要な過半数の票を獲得する見通しだ。投票を踏まえ、敗北を認めていないトランプ大統領の対応が焦点になる。
11月3日に投開票した大統領選について、全50州と首都ワシントン(コロンビア特別区)は12月9日までに結果を公式に認定し、538人の選挙人を指名した。バイデン氏が制した州は同氏を支持する選挙人を指名した。
CNNテレビによると、米東部時間14日午後3時30分(日本時間15日午前5時30分)時点でバイデン氏が229票、トランプ氏が181票を獲得した。激戦の東部ペンシルベニアや中西部ミシガン、同ウィスコンシン、南部ジョージア各州の選挙人は順当にバイデン氏へ票を投じた。これまでに選挙人が支持するはずの候補に票を入れない「不誠実な選挙人」は現れていない。
各州が公式認定した選挙結果どおりに選挙人が投票すれば、最終的にバイデン氏が306票、トランプ氏は232票を獲得する。連邦議会が2021年1月6日の上下両院合同会議で、選挙人による各州の投票結果を集計し、次期大統領を正式に選出する流れだ。
通常は一方の候補者に当確が出ると、対立候補が敗北宣言をして次期大統領が固まる。しかし、今回はトランプ氏が敗北を認めない異例の展開となった。トランプ氏は2つのルートで選挙結果を覆そうと狙ったが、ともに行き詰まっている。
一つは大統領選に不正があったと主張し、激戦州で繰り返す法廷闘争だ。連邦最高裁判所は11日、ペンシルベニアなど激戦4州の認定結果を無効にすべきだとする南部テキサス州の司法長官らの訴えを退けた。最高裁はペンシルベニア州の郵便投票の一部を無効にすべきだと主張した同州共和党の訴えも8日に棄却した。
トランプ氏は共和党の価値観に近い判事を相次いで任命したが、最高裁はトランプ氏に有利な判断を下さなかった。
もう一つのルートは州議会に対し、選挙結果と無関係にトランプ氏を支持する選挙人を指名するよう促すことだ。米メディアによると、トランプ氏はペンシルベニアやジョージア、ミシガン各州の共和党に面会や電話で州議会による選挙人の指名を働きかけた。だがミシガン州共和党指導部は「選挙結果を覆すような情報を持ち合わせていない」と指摘し、トランプ氏と距離を置いた。
14日の投票後はトランプ氏の対応に注目が集まる。トランプ氏は11月26日、選挙人がバイデン氏を選出した場合に退任する考えを示していた。12月14日の投票を踏まえ、トランプ氏が退任を決断する可能性がある。
一方、トランプ氏は13日放映のFOXニュースのインタビューで「(法廷闘争は)終わっていない。継続し前進し続ける」と語った。14日の投票後も敗北を認めず、法廷闘争を続ける考えを示唆したとの見方がある。
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