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米ASEAN関係格上げ、対中対ロでは温度差 特別首脳会合

バイデン米政権と東南アジア諸国連合(ASEAN)の初の対面首脳会合が12~13日ワシントンで開かれた。双方の協力関係の「包括的戦略パートナーシップ」への格上げなどを柱とする共同声明をまとめた。

「ASEANは政権のインド太平洋戦略の中核だ」。バイデン大統領はインド太平洋地域で覇権を広げようとする中国に対抗する姿勢で、2021年11月に同パートナーシップに引き上げた中国を意識したのは明らかだ。

共同声明では米国が主導するインド太平洋経済枠組み(IPEF)には触れなかった。米政府高官はASEANとの首脳会合の直前にIPEFを「前進させるためにASEAN各国と緊密に協議している」と語っていた。メリットが見えず、ASEAN側の様子見の姿勢がにじむ。

ASEANには、米国との関係強化を歓迎するものの、中国との無用な摩擦を避けたい思いもある。冷戦時代に大国の対立に巻き込まれた苦い教訓を踏まえ「米国と中国のどちらかを選択することはない」(議長国カンボジアのフン・セン首相)と取り繕うが、実際はASEANとして共同歩調を取るのが難しくなっている。

共同声明ではベトナムやマレーシアなど一部加盟国が中国と領有権を争う南シナ海について、武力の使用や威嚇に頼らず、国際法に基づき紛争を平和的に解決するよう促した。軍事力で南シナ海の実効支配を進めている中国が念頭にあるが、名指しは避けた。

中国が強固な関係を築くロシアへの対応でも温度差がある。経済制裁で米国に同調したのはシンガポールのみで、旧共産圏のベトナムとラオスは国連総会の対ロ非難決議を棄権した。ASEAN全体でもロシアへの直接的な非難を避けている。

13日の共同声明でもウクライナ情勢について「戦闘の即時停止と平和的解決のための環境づくりの重要性を強調する」と明記したものの、ロシアへの言及はなかった。

中国の習近平(シー・ジンピン)指導部は広域経済圏構想「一帯一路」を通じたインフラ協力を武器にASEANに接近する。21年12月に開通した中国とラオスを結ぶ高速鉄道を支援した。将来はマレーシアなどを通ってシンガポールまで結ぶ絵を描く。中国経済の影響力が強まるのは必至だ。

22年1月から中国と日韓、ASEAN各国など15カ国が参加する地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が発効しており、中国とASEANの経済連携がますます進む可能性がある。

(ワシントン=坂口幸裕、ハノイ=大西智也、北京=羽田野主)

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