欧州の米職員がハバナ症候群、国務長官「ロシアに提起」

【ワシントン=坂口幸裕】米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は13日、スイス・ジュネーブとフランス・パリに駐在する米国の外交官が原因不明の健康被害「ハバナ症候群」に罹患(りかん)していたと報じた。ジュネーブで発症した3人のうち1人が治療のために米国に帰国した。
ブリンケン国務長官は同日の米MSNBCのインタビューで、ロシアがかかわったと裏付ける証拠があるか問われ「ロシアにこの問題を提起したが、誰が関与しているか結論を出していない」と述べた。
ハバナ症候群は2016年にキューバの首都ハバナで初めて報告され、頭痛や聴覚障害、目まいなどの症状がある。米メディアによると、これまでに中国やドイツ、コロンビアなど米在外公館の勤務者ら200人以上が被害を訴えている。
米国科学アカデミーは20年12月、電磁波の一種である「高周波エネルギーの可能性が最も高い」との見解を示した。一部の国で電磁波を使って頭痛などの症状を引き起こし、殺害せずに敵を無力化する「非致死性兵器」の開発が進んでいるとされる。米外交官らを狙い、意図的に電磁波を照射したとの疑惑が浮上している。
米議会の超党派の議員から同症候群に対処するよう要請を受け、国務省は21年11月にこの問題を統括する担当者2人を任命した。ブリンケン氏は13日「直接かつ強力な影響を受けていることに疑いの余地はない。政府全体で取り組んでおり、必ず解決する」と語った。