NYダウ急落、1276ドル安 大幅利上げ継続を警戒

【ニューヨーク=斉藤雄太、佐藤璃子】13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5日ぶりに急反落し、終値は前日比1276ドル(3.9%)安の3万1104ドルだった。1日の下げ幅としては2020年6月以来2年3カ月ぶりの大きさを記録した。同日発表の8月の米消費者物価指数(CPI)の伸びが市場予想を上回り、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ継続や景気悪化への懸念からリスク回避の株売りが膨らんだ。
ダウ平均の下げ幅は一時1300ドルを超えた。終値では12日までの4営業日で計1200ドル強上昇していたが、上昇分を打ち消した。ハイテク株中心のナスダック総合株価指数は5.2%安、機関投資家が参照するS&P500種株価指数は4.3%安と、いずれも2年3カ月ぶりの下落率の大きさになった。インテルやアップルなど主力ハイテク株の下げが目立ち、メタ(旧フェイスブック)やエヌビディアの下落率は9%超に達した。
米債券市場では政策金利の動きに敏感な2年物国債利回りが一時、前日から0.2%ほど上昇(価格は下落)し、3.7%台後半と約15年ぶりの高水準をつけた。長期金利の指標になる10年物国債利回りは一時3.4%台半ばと3カ月ぶりの高さになった。米金利上昇でドルが買われ、対ドルの円相場は1ドル=144円台後半まで円安・ドル高が進む場面があった。

8月のCPIはガソリン高の一服を受け、総合指数の前年同月比の上昇率が8.3%と2カ月連続で縮んだものの、8%程度になると見込んだ市場予想は上回った。ミラー・タバックのマシュー・マリー氏は「市場の期待を大きく裏切る内容だ」と指摘した。新車や住居費、医療サービスなど、モノとサービスの幅広い品目で伸びの加速が目立った。
資産運用会社ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズのマット・ペロン氏は「予想以上に強い物価はFRBの利上げ圧力が継続することを意味し、株式市場には明らかにマイナス材料だ」と指摘した。
インフレ抑制を急ぐFRBは6、7月に連続して0.75%の大幅利上げを実施し、いつ利上げ幅を縮小するかが焦点になっていた。CPI公表後の米金利先物市場では9月20~21日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%の利上げ予想はゼロになり、0.75%以上の利上げ予想が一段と優勢になった。利上げ幅を1%にするとの予想も浮上した。ミラー・タバックのマリー氏は「FRBはタカ派姿勢で利上げを続け、少なくとも23年前半までは(緩和方向に)軸足を移すことはないだろう」とみる。
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