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NYダウ、一時1000ドル超安 利上げ警戒で年初来安値

長期金利は11年ぶり高水準

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【ニューヨーク=斉藤雄太】13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅続落し、終値は前週末比876ドル(2.8%)安の3万0516ドルと年初来安値を更新した。下げ幅は一時1000ドルを超えた。止まらぬインフレを踏まえ、米連邦準備理事会(FRB)が今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを加速する姿勢を示すという警戒感が高まった。

ダウ平均は4日続落し、この間の下げ幅は2663ドルに達した。1月4日につけた過去最高値(3万6799ドル)と比べると、17%下回る水準だ。米長期金利は急上昇(債券価格は急落)し、約11年ぶりの高水準を記録した。米景気の悪化と物価高止まりのスタグフレーションを不安視した株と債券の売りが広がった。

多くの機関投資家が運用成績の物差しとするS&P500種株価指数は13日の下落率が3.9%になった。1月初旬につけた最高値を2割以上下回り、「弱気相場」入りの水準となった。航空機の出荷低迷への懸念からボーイング株が急落し、個人消費の減速懸念でクレジットカードのアメリカン・エキスプレスやウォルト・ディズニーなどの株価下落も目立った。

ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数も4.7%下げ、主要3指数(ダウ平均、S&P500、ナスダック)がそろって年初来安値を更新した。

米債券市場では長期金利の指標になる10年物国債利回りが一時3.4%台と前週末から0.25%ほど上昇(価格は下落)した。2011年4月以来約11年ぶりの高水準になった。政策金利の動きにより敏感な2年債利回りも一時3.4%台まで急上昇した。07年11月以来約14年半ぶりの高い水準を記録した。

米金利上昇でドル買いも加速した。円やユーロなど主要通貨に対するドルの強さを示すドル指数は一時105台まで上昇し、約20年ぶりの高さになった。

金融市場の変動が大きくなっているのは、想定以上に強いインフレを踏まえて投資家がFRBの金融政策シナリオを見直しているためだ。10日発表の5月の米消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予想を上回り、市場ではFRBが金融引き締めに積極的なタカ派姿勢を一段と強めるとの見方が広がった。

14~15日開催のFOMCを巡っては、パウエル議長らFRB高官が5月に続いて通常の倍となる0.5%の利上げに動くと示唆してきた。

だが、CPI公表後にバークレイズやジェフリーズは0.75%への利上げ幅拡大を予想。13日午後には米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが0.75%利上げを検討する可能性があると報じ、金利上昇に弾みがつく場面もあった。JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスなども0.75%の利上げ予想に切り替え、米金利先物市場では13日夕時点で0.75%利上げの予想が一気に9割を超えた。実施すれば1994年以来の超大幅利上げになる。

パウエル議長が7月以降の会合での利上げ幅拡大や0.5%利上げの長期継続を示唆するとの見方もある。米調査会社SGHマクロ・アドバイザーズのティム・デュイ氏は13日朝の時点で「今年の残りの会合で0.5%利上げを基本線とする可能性が高まった」とみていた。

金利の急上昇は個人の住宅投資や企業の設備投資など中長期の資金需要を冷やし、成長率の下押し要因になる。株安による「逆資産効果」で個人の消費意欲が減退したり、ドル高で米輸出企業の収益が落ち込んだりするなど、金融環境を引き締めることの波及効果は広範囲に及ぶ。ドイツ銀行の米国経済担当チームは「景気後退を引き起こさずに物価を(2%)目標まで下げるという軟着陸の達成は非常に困難だ」と指摘する。

「FRBの過度な引き締めや企業の利益率が圧迫されるリスクを考えれば、株価が下げても買い場とはならない」。米資産運用大手ブラックロックは13日付のリポートでこう指摘した。今年は約10%増益とするアナリストのS&P500種採用銘柄の収益見通しは楽観的で、コスト高による収益悪化が顕在化すれば株価はさらに下げるとみる。

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