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JPモルガンの22年、22%減益 「緩やかな景気後退に」

(更新)

【ニューヨーク=斉藤雄太】米銀最大手JPモルガン・チェースが13日発表した2022年12月期決算は純利益が前の期比22%減の376億ドル(約4兆8000億円)だった。融資の焦げ付きに備える貸倒引当金の計上が利益を圧迫したほか、投資銀行業務の手数料収入が大幅に落ち込んだ。利ざやの改善で純金利収入は急拡大し、22年10~12月期の純利益は5四半期ぶりの増益に転じた。

ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は声明で「現在の米経済は強さを保っている」と評価しつつ、ウクライナ危機やインフレの継続、金融引き締めなどの逆風が「最終的にどのような影響を及ぼすかはまだ分からない」と指摘。「警戒を怠らず、何が起きても大丈夫なように準備している」と述べた。

22年12月期は貸倒引当金と貸倒損失を合わせた不良債権処理費用(信用コスト)として63億ドルを計上した。前の期は92億ドルの戻り益が発生していたが、一転して利益の圧迫要因になった。ジェレミー・バーナム最高財務責任者(CFO)はメディア向け説明会で「緩やかな景気後退に入るという見通しを反映している」と述べた。

M&A(合併・買収)助言や新規株式公開(IPO)など企業の株式発行の引受業務が低調で、投資銀行の手数料収入は49%減った。22年は米連邦準備理事会(FRB)が急ピッチの金融引き締めに取り組むなか、金利上昇や株安が進み、企業の資金調達や投資活動が停滞した。

同日、22年12月期決算を発表したほかの米銀大手の純利益もバンク・オブ・アメリカが前の期比14%減の275億ドル、シティグループが32%減の148億ドル、ウェルズ・ファーゴが39%減の131億ドルとそろって減益になった。信用コストの増加が利益を押し下げる構図は各社に共通する。

一方、金利上昇は貸出金利と預金金利の差である利ざやの改善につながり、商業銀行業務に追い風になった。JPモルガンでは融資などの純金利収入が667億ドルと28%増えた。事業会社の売上高に相当する純営業収益は6%増の1286億ドルだった。バンカメなど大手3社の純金利収入もおおむね2割前後増えた。

22年10~12月期は明暗が分かれた。JPモルガンの純利益は前年同期比6%増の110億ドル、純営業収益は18%増の345億ドルだった。投資銀の不振や引当金の積み増しは続いたが、純金利収入が48%増と伸びが加速し、利益を底上げした。利ざやは2.47%と7~9月期(2.09%)から拡大。10~12月期はクレジットカード大手ビザの株式売却で利益が押し上げられた面もある。

バンカメの純利益は2%増えた半面、シティは21%減、ウェルズは50%減になった。ウェルズは過去の不正行為にからみ米当局に巨額の制裁金を科されたことが響いた。

JPモルガンは中核的な自己資本比率の早期改善を踏まえ、22年に一時停止した自社株買いを再開できるとの見通しを示した。23年の事業環境については、顧客に払う預金金利の上昇により、純金利収入が22年10~12月期のペースからは鈍化する可能性も示唆した。

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