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個人情報保護に理解も ツイッターなど、規制乱立は懸念

 オンライン討論会に出席した(右上から時計回りに)米ツイッター、アマゾン・ドット・コム、グーグル幹部と司会者(CESの動画から・共同)

政権交代が20日に迫る米国で、IT(情報技術)企業に対する規制を強める機運が高まってきた。プライバシー保護に関する連邦政府レベルでの法整備に加え、SNS(交流サイト)の投稿を巡る法改正なども焦点だ。各社はルール整備に一定の理解を示す一方、「過剰規制」に神経をとがらせている。

「統一的な法律の整備により、企業は守るべきルールを理解でき、個人の権利も明確になる」。米グーグルでプライバシー保護の責任者を務めるキース・エンライト氏は12日、世界最大のデジタル技術見本市「CES」の一環として催した討論会でプライバシー保護にまつわる法整備に理解を示した。

米アマゾン・ドット・コム、米ツイッターの幹部も参加したこの討論会では、プライバシーに関する統一的なルール整備を求める声が相次いだ。2016年の米大統領選で米フェイスブックが集めた個人情報が不正利用され、消費者の間でIT大手のプライバシー保護体制への懸念が強まったことが背景にある。

消費者の意識の変化を受け、米アップルは21年から自社の基本ソフト(OS)上でターゲティング広告に使われる個人情報の収集を制限する。20年12月には、同社が配信する全アプリを対象に個人情報の扱いの開示も始めた。グーグルのエンライト氏は12日、22年までに自社ブラウザーで「クッキー」と呼ぶインターネット閲覧履歴を把握する機能の利用を制限する方針を改めて説明した。

企業が自主的な対策を進める一方、法整備は地域によりばらついている。欧州連合(EU)が18年に一般データ保護規則(GDPR)を施行する一方、連邦議会のねじれが続いた米国では議論が停滞。一方、カリフォルニア州が20年に「消費者プライバシー法(CCPA)」を施行するなど、中央の動きにしびれを切らした約20州が独自の法整備に動く。

IT企業は消費者の意識が変化していることもあり、一定のルール整備には理解を示すが「規制が乱立すると企業、消費者に不都合が大きい」(ツイッター幹部)との懸念も示した。12日の討論会での各社幹部の発言は、大統領と上下院の多数派を民主党が占めたことで手続きが進めやすくなることを歓迎する内容だったが、別の議論が加速する可能性もある。

「(今回の事件により)通信品位法230条をはじめとするIT大手に対する特権や義務を見直す必要性が高まった」。民主党のブルーメンソル上院議員は米メディア、リコードの取材でこう語った。トランプ米大統領の支持者が議会に乱入した6日の事件で、SNSが暴徒の扇動に使われたことを懸念したものだ。

230条はSNSの運営企業が利用者の投稿に対して原則として責任を負わなくても済む一方、削除する権利も認めている。民主党などは「トランプ氏がツイッターなどを通じて誤情報を拡散している」などと批判してきた経緯があり、議会構成が変わったことで法改正に向けた環境が整う。

企業の間にはハリス次期副大統領は、カリフォルニア州出身でIT業界への造詣が深く、妥協点を見いだせるとの期待感があるが、先行きは不透明だ。CESの別の対談ではホワイトハウスで経済政策を統括する国家経済会議の委員長に内定したブライアン・ディーズ氏が言い切った。「現在の法体系は現実のニーズに対応できていない」

(シリコンバレー=白石武志、奥平和行)

CES 2021

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