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陰謀論が招いた米議会占拠 トランプ氏投稿が拍車

(更新)
米司法当局は議会占拠事件をめぐる捜査範囲は前例のない規模だと指摘している=ロイター

【ワシントン=中村亮】米連邦議会議事堂の占拠事件は、米司法省が数百人を起訴する事態に発展した。13日で事件から1週間がたち、過激派が爆発物や銃を持ち込んで暴力行為を試みた実態が浮かび上がった。米社会の分断が深まり、偏った情報だけにアクセスしがちなトランプ大統領の一般的な支持者にも「選挙が盗まれた」との陰謀論が広がり、暴動の規模拡大につながったとみられる。

「米連邦捜査局(FBI)や司法省の歴史をみても捜査の範囲や規模は前例のないものだ」。首都ワシントン(コロンビア特別区)のマイケル・シャーウィン検事正代行は12日の記者会見で、占拠事件の捜査についてこう指摘した。FBIはSNS(交流サイト)などに投稿された10万件以上の写真や動画を調べて群衆の特定を急ぐ。司法省は70人以上を起訴し、今後数週間で数百人に増える見通しだ。

事件は少なくとも5人の死者を出したが、捜査はさらなる大惨事につながりかねない危うさを浮き彫りにした。南部アラバマ州在住の男は議会付近に停車したトラックに11個の爆発物に加えて拳銃やライフルを準備。米メディアによると、ライフルや弾薬を所持していた別の男は民主党のペロシ下院議長について「生放送中に頭を撃ち抜きたい」「車でひき殺したい」と周囲にメールで漏らしていたという。

極右団体「プラウドボーイズ・ハワイ」の幹部も逮捕された。米名誉毀損防止同盟(ADL)によると、プラウドボーイズはほぼ全州に支部があり、白人至上主義団体とつながって暴力を辞さない団体とされる。メンバー数は不明だがADLは数百人と推定する。

同幹部は2020年11月のハワイ州議会選に共和党から出馬。トランプ氏の元側近で同12月に恩赦されたロジャー・ストーン氏から支持を取り付けていた。トランプ氏は大統領選でプラウドボーイズに「下がって待機せよ」と語った。必要に応じて暴力行為を求めると解釈されたとの指摘があり、同幹部はツイッターで「大統領よ、下がって待機している」と呼応していた。

米メリーランド大学のジェンセン上級研究員は議会占拠に「過激派団体に属さない多くの人々が参加した」ことに着目する。「トランプ氏らが極右の陰謀論を政治的に得策と見なし、インターネットの陰の片隅から主流に押し出す重要な役割を果たした」と指摘する。トランプ氏は陰謀論とみられる主張をツイッターや演説で日ごろから拡散しており、大衆が誤情報を信じやすい土壌ができていたとみる。

トランプ氏は占拠事件直前に根拠を示さずに大統領選で不正があったと改めて主張し「決して敗北を認めない」と強調した。こうした主張を裁判所はことごとく棄却したが、トランプ氏の支持者は共鳴して民主党のバイデン氏を次期大統領に選出する手続きを行っていた議会に乱入したとの見方は多い。

米紙ワシントン・ポストによると、事実誤認や誤解を招くトランプ氏の発言回数は大統領就任後3万回近くにのぼった。それでもトランプ氏が20年の大統領選で7000万を超える票を得たのは誤情報を信じ、扇動されやすい多数の支持者がいたことを示す。

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