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米、独ロガス管阻止辞さず ウクライナ対応で方針修正

【ワシントン=中村亮、ベルリン=石川潤】バイデン米政権はドイツとロシアを結ぶ新たなガスパイプライン「ノルドストリーム2」について、稼働阻止を辞さない強硬姿勢を見せ始めた。ロシアがウクライナとの国境に軍を集結させて侵攻の構えを見せていることを踏まえ、これまでの容認方針を修正した。ガス管計画を推進してきたドイツと調整を急ぐ。

ブリンケン米国務長官は12日、米NBCテレビのインタビューでノルドストリーム2をめぐり「ロシアがウクライナを新たに攻撃すればガスが流れる可能性は極めて低くなる」と強調した。ロシアのプーチン大統領に対し「次の行動を考える際にこのことを考慮すべきだ」と警告した。

米政権はロシアによるウクライナ侵攻を阻止するため経済面での対抗措置を用意している。ノルドストリーム2の稼働阻止はその一つにあたる。バイデン大統領は11日、東部デラウェア州での記者会見で、ロシアがウクライナに侵攻すれば「(ロシア)経済に壊滅的な影響を与える」と重ねて警告した。

ノルドストリーム2は独ロを海底で結ぶ全長約1200㌔㍍のガスパイプライン。すでに完成しており稼働の準備を進めている。エネルギー輸出はロシア経済の土台でもあり、稼働が始まらなければ打撃になるが、ロシア産ガスに依存している欧州経済にとっても痛手になる。

バイデン政権はドイツとの同盟修復を優先し、ノルドストリーム2を事実上容認してきた。バイデン氏は5月に「制裁は欧州との関係を考えると非生産的だ」と指摘。ノルドストリーム2の事業会社やその最高経営責任者(CEO)を制裁の適用除外としていた。

米政権には強硬姿勢を見せることで、米議会の批判をかわす思惑も透ける。野党・共和党のテッド・クルーズ上院議員は12月上旬、バイデン政権がウクライナを迂回するノルドストリーム2を容認したことでロシアがウクライナを侵攻しやすくなったと批判した。バイデン氏が率いる与党・民主党でも制裁の見送りに批判が出ていた。

ノルドストリーム2の稼働阻止にはドイツとの調整が欠かせず、8日に就任したばかりのドイツのショルツ首相は苦しい立場に追い込まれている。

12日には訪問先のワルシャワで会談したポーランドのモラウィエツキ首相がノルドストリーム2は「政治的、エネルギー上のワナ」だと述べ、運転開始を見送るように求めた。ショルツ氏はウクライナへ配慮すると約束したが、パイプライン計画の中止の可能性への言及は避けた。

脱原発と脱石炭の方針を決めているドイツにとって、天然ガスの安定輸入はエネルギー政策の生命線となっている。中道左派のドイツ社会民主党出身でメルケル政権の財務相だったショルツ氏は、計画を進めたメルケル前首相の方針を引き継ぐ立場とみられる。ただ、ロシアがウクライナに侵攻した場合、米国や中東欧からの批判は避けられず、事業の実施は極めて危うくなる。

ドイツ政府はすでに11月、法律で定める要件を満たしていないとして計画の認可手続きを一時中断すると発表している。政権内にも計画への温度差は残る。計画に反対してきた緑の党の共同党首、ベーアボック外相は12日に独公共放送ZDFで「現在の状態ではパイプラインは認可できない」と改めて表明した。

ノルドストリーム2の阻止をちらつかせてもロシアが侵攻を思いとどまるかは不透明だ。米国防総省のカービー報道官は9日、7日の米ロ首脳のオンライン協議後もロシア軍が大規模な部隊をウクライナ国境付近に残したままだと説明した。

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