米財務省など「シリコンバレー銀行の預金、全額保護」

【ワシントン=高見浩輔】米財務省と米連邦準備理事会(FRB)、米連邦預金保険公社(FDIC)は12日、米銀シリコンバレーバンク(SVB)の破綻について共同声明を公表した。イエレン米財務長官は預金者を完全に保護する方法で破綻処理を完了する措置を承認した。FRBが銀行の資金繰りを助ける新たな枠組みを導入する。
FRBによると、新たに導入するのは「銀行タームファンディングプログラム(BTFP)」。金融機関を対象に、米国債や住宅ローン担保証券を担保として、最長1年の融資をする。政府の基金から最大250億ドルを利用できるようにする。FRBが「最後の貸し手」となって金融システムを守る機能を拡充する。
共同声明によると、預金の保護はFDICとFRBからの勧告に基づき、イエレン氏がバイデン米大統領と協議のうえで承認した。声明は「預金者が3月13日からすべての資金にアクセスできるようになる」と説明。SVBの破綻処理に伴う損失が納税者の負担になることはないとも付け加えた。
ニューヨーク州金融監督当局が12日付で事業停止を発表した米銀シグネチャー・バンクについても同様に預金を全額保護の対象とする。金融システム不安につながるシステミックリスクを防ぐための例外措置が必要だと判断した。共同声明は「この金融機関の預金者はすべて救済されることになる」と明記した。
株主と担保を持たない一部の債務者は保護されない。声明は上級管理職を解任したとも説明した。
SVBは米テクノロジー企業への融資で知られ、スタートアップが集積する米西海岸シリコンバレーで成長した。FRBの急速な金融引き締めにより、保有する証券の価値が低下していた。10日に経営破綻し、FDICの管理下に入った。FDICは入札で買い手を募集していたが、米当局は市場が開く月曜日の13日までに預金保護の方針を示して不安拡大を防ぐことを優先した。
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米テクノロジー企業への融資で知られ、米西海岸シリコンバレーのエコシステムの中核を担ってきたシリコンバレーバンク(SVB)が2023年3月10日、経営破綻し、米連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に入りました。米銀の破綻では2008年のリーマン危機で破綻したワシントン・ミューチュアルに次ぐ資産規模。関連する記事をお読みいただけます。
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