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米、ガザ緊迫で仲介急ぐ バイデン政権への不信感が壁に  

バイデン米大統領はイスラエルのネタニヤフ首相と電話協議し、合法的な自衛権の行使を支持する考えを伝えた(12日、ワシントン)=AP

【ワシントン=中村亮】バイデン米政権が中東のパレスチナ自治区ガザやイスラエルでの戦闘停止に向けて仲介を急いでいる。バイデン大統領や主要閣僚がイスラエルに緊張緩和を繰り返し訴えて、イスラエルとパレスチナの双方にパイプを持つエジプトにも働きかけを始めた。両者とも対米不信が根強く、緊張緩和の壁になる。

バイデン氏は12日、ネタニヤフ首相との電話協議で「イスラエルの安全保障や合法的な自衛権に対する揺るぎない支持」を伝えた。「持続的な平静に向けた措置」を講じるよう促し、緊張緩和を促した。ブリンケン国務長官やオースティン国防長官も同日、それぞれイスラエル高官と電話協議し、同様の考えを伝達した。

ブリンケン氏は12日、パレスチナ自治政府のアッバス議長とも電話し緊張緩和を訴えた。サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)はガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスとパイプを持つエジプトとも接触している。エジプトは2014年、イスラエルとハマスの停戦合意を仲介した経緯がある。サキ米大統領報道官によると、政権高官は先週末から交戦に関連し、関係国と25回以上にわたって電話や面会で接触した。

それでも戦闘は止まらない。イスラエル軍は13日も空爆を続け、ガザ保健当局によると10日の空爆開始以降で死者は83人にのぼった。ネタニヤフ氏はハマス幹部らを殺害したと主張し「彼らが夢にも思わない打撃を与える」と強調した。ハマスも攻撃の手を緩めない考えを示している。

緊張緩和を妨げるのが対米不信だ。米カーネギー国際平和財団のアーロン・ミラー上級研究員は「ネタニヤフ氏は過去のイスラエル首相に比べて米国への不信感が強い」との見方を示す。

米政権は交戦をめぐり「全ての当事者に自制を求める」と訴えてきたが、駐米イスラエル大使はツイッターに「平静を呼びかけるイスラエルの指導者と、ロケット弾やミサイルを発射する扇動者やテロ組織を声明で同列に並べることはありえない」と投稿。イスラエルとハマスを同等に扱ったとしてバイデン政権を批判した。

バイデン政権は過度にイスラエルに肩入れしたトランプ前政権からの軌道修正を図った。イスラエルの要望に反し、イラン核合意復帰を目指してパレスチナへの資金支援を再開する方針も表明した。バイデン氏は大統領就任後、ネタニヤフ氏と電話協議を行うまで約1カ月を要した。トランプ前大統領は就任2日後に行っており、政権交代による両国関係の変化を印象づけた。

パレスチナに対しても米国の信頼回復は途上だ。国連安全保障理事会はガザなどでの交戦をめぐる声明発表を模索したが、関係者によるとイスラエル批判につながりかねないと懸念する米国の反対で実現していない。AP通信によると、パレスチナの国連大使は「国際社会、とりわけ安保理は全てのイスラエルの違法行為を糾弾すべきだ」と強調し、米国の対応を批判した。

ダグラス・シリマン元駐イラク米大使は「バイデン氏が国内政策に注力してきたことが今回のような中東での危機対応を困難にしている面がある」と指摘する。バイデン氏は新型コロナウイルス対策や経済再建を最優先課題とした。外交でも対中政策を優先し、アジアや欧州との同盟関係の再構築を重視してきた。

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バイデン政権

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