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米連邦準備理事会(FRB)の「タカ派」化リスク(NY特急便)

14日のパウエルFRB議長の討議に注目が集まる=ロイター

米連邦準備理事会(FRB)は金融緩和の縮小に前向きな「タカ派」に傾いているのではないか。米債券市場でそんな思惑が広がっている。FRB高官から将来の資産購入の縮小について言及する機会が増加。市場の長期金利が上昇しても、FRBから警戒感を示す発言は出てこない。過去10カ月ほど0%台で定着してきた米長期金利は1%台前半が新たな居場所となりつつある。

12日の米債券市場では米10年債利回りは一時1.18%と、約10カ月ぶりの水準に上昇した。12日実施の10年債入札には需要が集まる好調な結果だったことから、午後には金利が低下(価格は上昇)したものの、20年末と比べてなおも0.2%ほど金利は高い。

理由は2つある。一つは米財政の拡大観測だ。米上院は5日のジョージア州での決選投票を経て、民主党が実質支配する見通しとなった。バイデン次期政権では大規模な財政支出を進めるとの観測が強まり、国債の需給が緩むとの見方につながった。14日にはバイデン氏が追加経済対策の内容を公表する予定で、その規模に注目が集まっている。

もう一つはFRBの資産購入の減額を指す「テーパリング」だ。FRBは現在、国債を月800億ドル(約8兆3000億円)、不動産ローン担保証券を月400億ドルのペースで買っている。これを年内にも減額を検討する可能性を話すFRB高官が最近出始めているのだ。

ダラス連銀のカプラン総裁は11日、年内に景気が順調に回復するという前提をおいた上で、「テーパリングをいつ実施するのが適切か検討すべきだ」と述べた。ボスティック・アトランタ連銀総裁もテーパリングが予想外に早まる可能性を指摘する。

米長期金利は5日の上院決選投票以降、勢いよく上昇してきた。もし金利上昇を抑えたいのであれば、資産購入縮小に言及するのはご法度だ。裏返せば、いまの金利水準を容認しているともいえ、FRB内で将来のテーパリングに向け、少しずつ地ならしをしたいとの力も働き始めている可能性がある。

市場の関心はパウエル議長が参加するプリンストン大主催の14日の討議だ。ここでも資産縮小の議論の必要性について触れられれば、市場は年内の可能性も織り込みにかかり、金利が一段と上昇する可能性がある。

ただ、拙速な地ならしには危険も伴う。2013年にバーナンキ議長(当時)が量的緩和縮小の可能性に触れ、株が急落した経験もある。「テンパー・タントラム(かんしゃく)」と引っかけて、「テーパー・タントラム」と呼ばれた。いまは新型コロナウイルスの感染拡大が深刻で、強力な緩和を推し進める局面だ。

金利急騰や株安を自ら招くのは避けねばならない。セントルイス連銀のブラード総裁は12日に「テーパリングの議論は時期尚早だ」との認識を示すなど、FRB高官の発言はバランスもとっているようにみえる。

13日には30年物国債の入札も控える。14日の追加経済対策の公表とパウエル氏の討議を前に、投資家の反応を測る試金石となる。12日の10年債入札は無難に通過したが13日も順調な結果となるか、債券市場関係者の不安は拭えていない。(ニューヨーク=後藤達也)

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