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中ロ、対衛星兵器を拡充 米報告「紛争介入抑止が狙い」

(更新)

【ワシントン=中村亮】米国防情報局(DIA)は12日、宇宙の安全保障に関する報告書を公表した。中国とロシアが衛星攻撃を目的とした兵器の開発を拡充していると懸念を示した。米国の軍事力を支える衛星を弱体化させる能力を獲得し、米軍による紛争介入を抑止する狙いだと分析した。

DIAが同報告書を作成するのは2019年に続いて2回目。民間シンクタンクの集計を引用し、中国とロシアが軌道上で運用している衛星が21年末に合計で約660基と2年間で7割増えたと指摘した。衛星は敵軍の監視やミサイルの早期探知、部隊間の通信仲介、兵器の精度向上など幅広い役割を担い、各国で打ち上げ競争が起きている。

米軍は1990年代に湾岸戦争で全地球測位システム(GPS)を軍事作戦に生かした。圧倒的な軍事力を発揮する半面、軍事作戦における衛星への依存度が高いとされる。報告書は「中国やロシアは米国が宇宙拠点のシステムに依存する点を突き、宇宙での米国の地位に挑戦するためのさまざまな手段を開発している」と言及した。

中国やロシアが開発を加速するのが、衛星攻撃兵器(ASAT)だ。DIAはASATをめぐり「中国人民解放軍はおそらく、地域の軍事紛争で米国の介入を抑止・対抗する手段と位置づけている」と訴えた。台湾海峡や南シナ海での有事で米国に対して衛星攻撃を実施する可能性に触れたものだ。

ロシアも同兵器に関して「米国の軍事的優位性を埋め合わせる手段」としていると強調し、米国などによる攻撃を抑止する狙いだと分析した。

とくにDIAは中国の能力拡大に懸念を示した。中国は高度2000キロメートル以下の低軌道で運用する衛星を攻撃する地上発射型の対衛星ミサイルを配備している。DIAは中国が高度3万6000キロメートルの静止軌道の衛星にも届くミサイルを開発する可能性に触れた。

レーザーなどのエネルギーを攻撃目標に照射して破壊する「指向性エネルギー兵器」も20年代末までに性能を向上させると懸念を示した。中国が戦闘の初期段階にサイバー攻撃を通じ、衛星を使った敵国の情報収集能力などを低下させ、敵国の軍動員を遅らせるシナリオも示した。

中国人民解放軍は情報収集や偵察活動を目的とした衛星を増やしており、世界中で米国や同盟国の軍を捕捉したり、攻撃したりする能力が上がっているとした。台湾や南シナ海、朝鮮半島、インド洋の監視能力の強化にもつながっているとの見方を強調した。

中国の極超音速兵器にも警戒感を示した。DIAによると中国は21年7月に大陸間弾道ミサイル(ICBM)で地球を周回する軌道に極超音速滑空体を投入し、攻撃目標が近づいた段階で下降させた。DIAは飛距離を最大4万キロメートル、飛行時間を約1時間40分と説明し、ともに中国の地上攻撃システムとして最長だったという。

米国も宇宙への投資を増やす。バイデン米政権は3月末に公表した23会計年度(22年10月~23年9月)の予算教書で、「宇宙拠点システム」への予算を217億ドル(約2兆7000億円)とした。前年度に比べて3割増やし、10会計年度以降で最も多い。

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