米でドーピング違反初訴追 東京五輪選手へ、自称医師
【ニューヨーク=共同】米東部ニューヨーク州の連邦地検と連邦捜査局(FBI)は12日、東京五輪に出場した女子陸上選手ら2人に違法薬物を摂取させた疑いで、南部テキサス州エルパソの自称医師エリック・リラ容疑者(41)を逮捕、訴追したと発表した。ドーピング違反に刑事罰を科す2020年成立のロトチェンコフ反ドーピング法で初の訴追としている。
米メディアによると、選手の1人は女子短距離のナイジェリア代表ブレッシング・オカグバレ選手。08年の北京五輪の走り幅跳びで銀メダルを獲得した。東京五輪では昨年7月の競技外検査で禁止物質が検出され、女子100メートル準決勝を目前に暫定的な資格停止処分を受けた。
連邦地検や訴追状によると、リラ容疑者は自然療法医を自称。東京五輪に先立ち中南米で違法薬物を入手して米国に密輸、選手2人に摂取させた疑い。選手とは暗号化されたメッセージアプリを通じ、薬物の売買や効能、検査で検出可能かどうかなどを話していた。
オカグバレ氏とみられる選手は昨年6月、リラ容疑者に「昨日摂取したが(ドーピング)検査を受けても大丈夫か」「すごく調子が良い。100メートルを10秒63で走れた。よく効いてる」などとメッセージを送った。
ロトチェンコフ反ドーピング法は、スポーツの国際大会でドーピングの不正が発覚した場合に刑事罰を科すことを可能にする法律。最高で禁錮10年が科される。