米「カジノ王」のアデルソン氏死去 共和党に深い人脈

【ニューヨーク=大島有美子】米カジノ大手「ラスベガス・サンズ」の創業者、シェルドン・アデルソン氏が11日、非ホジキンリンパ腫の合併症のため死去した。87歳だった。トランプ米大統領をはじめ、共和党への大口献金者としても知られた。サンズが12日に発表した。
ユダヤ系富豪であるアデルソン氏は低所得の家庭で育ったが、見本市の運営で最初の財産を築いた。見本市は「コムデックス」としてコンピューター業界最大の展示会となった。ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長からの買収打診を受け、1995年にコムデックスをソフトバンクグループに約8億ドル(約830億円)で売却した。
売却で得た資金をもとに、アデルソン氏はラスベガスでのカジノ運営から、マカオやシンガポールにも事業を拡大させていった。共和党の議員や団体を支援するため、多額の献金をしており、トランプ氏を初め共和党に幅広い人脈を持つ。トランプ氏が大統領選で勝利した後の2016年12月、孫氏との面会を仲介したのもアデルソン氏だった。
トランプ氏は12日、「シェルドンは真のアメリカンドリームを体現した。彼の創造力や才能が彼に計り知れない富をもたらした。そして彼の性格と慈善活動は彼を偉大にした」との声明を出し、アデルソン氏の死を惜しんだ。
アデルソン氏はイスラエルに自宅を持ち、同国のネタニヤフ首相の支援者でもあった。米共和党のイスラエル政策に大きな影響を及ぼしたことでも知られる。
ラスベガス・サンズは、日本でカジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業への参入に意欲を示していたが、20年5月に進出断念を発表した。
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