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米SEC、ビットコイン現物ETF却下 投資家保護で高い壁

【ニューヨーク=宮本岳則】米証券取引委員会(SEC)は12日、暗号資産(仮想通貨)のビットコインの現物に投資する上場投資信託(ETF)の上場を認めないと発表した。ビットコインの価格操作や詐欺から投資家を守る仕組みが不十分と判断した。10月に先物価格に連動するETFを認めたが、現物型の承認には高いハードルを設けた形だ。

SECから却下されたのは、米運用会社ヴァンエックが2020年12月に申請したETFだ。上場先の米取引所大手Cboeグローバル・マーケッツは同ETFの取引を可能にする規則変更案をSECに提出していた。2013年以降、複数の企業が現物投資型のETFを申請したが、これまで承認された事例はない。一方で21年10月、先物に連動したETFは上場を認められており、当局の判断に注目が集まっていた。

SECは51ページに及ぶ資料で申請却下の理由を説明した。現物に投資するETFは「1934年証券取引所法」の要件を満たす必要がある。証取法は上場商品について「詐欺的および操作的な行為、慣行を防止する設計」と、「投資家および公共の利益を保護する」仕組みの整備を求めている。SECはCboeの規則変更案について、証取法の定める要件を満たしていると証明できていないと述べた。

SECはビットコインETF承認の条件として、ETF上場先の取引所が、ビットコインを売買する「規制市場」との間で、不正防止に向けた「監視共有契約」を結ぶことを求めている。もっともビットコイン取引市場は世界中に分散しているほか、米国の仮想通貨交換所はSECに登録していない。こうした状況下では「監視共有契約」を結ぶのは難しく、その代替案も見つかっていない。

Cboe側はビットコイン先物型のETF上場を認める一方、現物型を却下するのは矛盾していると主張していた。現物型と先物型を比較した場合、ビットコイン価格への連動を目指すという点では変わらない。10月に取引が始まった「プロシェアーズ・ビットコイン戦略ETF」は、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)に上場するビットコイン先物に投資する。

SECはCboeの主張を退けた。先物ETFは「1940年投資会社法」に基づいて組成されており、現物型とは異なるという。証取法への準拠を求められる現物型には、投資家保護の観点で高いハードルが設定された形だ。加えてビットコイン先物の取引市場であるCMEは当局の監督下にあり、上場承認の決め手となった。

仮想通貨業界ではビットコインETFへの期待が高い。投資家は暗号資産(仮想通貨)用のウォレット(電子財布)を持たずに、間接的にビットコインに投資ができるようになる。これまでビットコインの購入をためらっていた機関投資家や一般個人が、ETFを通じて資金を振り向けるとの見方があった。

米フィデリティ・インベストメンツなど複数の企業がビットコイン現物ETFの上場を申請し、SECの審査を受けている。ヴァンエックの申請が却下されたことで、現物ETFの上場は当面難しいとの見方が広がっている。SECのゲンスラー委員長は仮想通貨交換所の規制強化に意欲を示しており、ビットコイン現物ETFの環境整備には時間がかかりそうだ。

ビットコイン価格の上昇は一服している。情報サービス会社コインデスクによると、12日の米東部時間午後5時40分(日本時間13日午前7時40分)時点の取引価格は6万4000ドル台で、24時間前に比べて約2%安となった。SECが現物ETFの承認に後ろ向きであることは広く知られており、申請却下に対する市場の反応は限定的だった。ビットコインは10日、6万8990ドル台まで上昇し、史上最高値をつけていた。

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