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米共和、深まるトランプ依存 批判のチェイニー氏を解任

中間選挙へ協力ねらう

リズ・チェイニー下院議員は反トランプの急先鋒(せんぽう)にたつ=AP

【ワシントン=永沢毅】米共和党でトランプ前大統領と対立してきた下院ナンバー3の解任が12日決まった。2022年秋の中間選挙でトランプ氏の協力が不可欠とみる党指導部が批判勢力の排除に動いた。党内抗争が長引けば、民主党のバイデン政権を利する可能性がある。

ポストを追われたのは下院指導部の要職である党会議議長を務めていたリズ・チェイニー氏だ。「破壊的なウソを拡散するリーダーが必要というなら、私は適任ではない」。12日の党下院議員の非公開会合で、チェイニー氏はトランプ氏による「大統領選で不正があった」との主張を重ねて否定した。

米メディアによると、出席議員からヤジと拍手が湧き起こり、発声投票で解任が決まった。会議は約20分で終わった。

チェイニー氏は1月のトランプ氏への弾劾決議に民主党とともに賛成に回った10人の共和議員の1人。指導的な立場にありながら造反したとして、親トランプ派から解任要求が持ち上がった。このときは党内にはまだ留任支持が多く、役職に踏みとどまった。

しかし、チェイニー氏はその後もトランプ氏との決別を訴えた。「大ウソをまき散らし、法の支配に背き、民主主義を害している」。チェイニー氏が5月初旬、ツイッターで再び攻撃すると、トランプ氏はすぐに声明で「有権者はみな彼女が好きではない。もう共和党候補として出馬することはないだろう!」と応戦した。

前回の解任騒ぎで擁護に回った下院トップのマッカーシー院内総務ら党幹部はトランプ氏の要求に応じ、チェイニー氏を見限った。NBCニュースの世論調査(4月末)によると、共和党支持層で「党よりトランプ氏を支持する」の回答は44%で、その反対は50%だった。前者が後者を下回るのは1年9カ月ぶりだが、それでもトランプ氏の求心力の強さを物語る。

「不正選挙」の主張を公然と批判して同氏の離反を招けば、中間選挙での下院過半数の奪回はおぼつかない。チェイニー氏の「脱トランプ」論はこうした現実を見据えていないと指導部には映る。

「党指導部は大統領退任から3カ月たってもトランプ氏の影響力が衰えておらず、批判を放置すれば中間選挙に壊滅的な影響を与えると判断した」。元共和党全国委員会幹部のダグラス・ヘイ氏はこうみる。

チェイニー氏の後任の有力候補に急浮上しているのが、「ウクライナ疑惑」でトランプ氏を擁護して頭角を現した若手のエリス・ステファニク氏だ。「選挙の安全と正当性を改善し、強化したい」。保守系メディアのインタビューでこう語り、トランプ氏が敗れた西部アリゾナ州の大統領選の結果を再点検する必要性を訴えた。

人事ではトランプ氏やマッカーシー氏の支持も取り付けた。政策面ではチェイニー氏のほうがトランプ氏に近い。にもかかわらず指導部入りが有力視されるのは、トランプ氏への忠誠度が議員の浮沈を左右する党の現状を映し出す。

チェイニー氏は「前大統領をオーバルオフィス(大統領執務室)に近づけないよう、あらゆることをする」と述べ、反トランプ闘争を続ける方針を強調した。リベラル派にはチェイニー氏に新たな保守政党の結成や第3党からの大統領選出馬を期待する声がある。

「チェイニー氏の追放は共和党をすり減らし、無党派層の支持を失う」。共和党の政治アナリスト、ビル・クリストル氏は共和党の内紛がバイデン政権に追い風となると警告している。

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